京大など、ドーパミンなどの輸送に重要な膜タンパク質の立体構造を解明
マイナビニュース / 2024年9月19日 6時24分
今回の研究では、VMAT2のアポ(基質非結合)状態、ドーパミン結合状態、VMAT2阻害剤「テトラベナジン」の結合状態の3種類の状態の立体構造が、それぞれ最大分解能3.05オングストローム(1Å=1000万分の1mm)、2.90Å、3.18Åで決定された。
VMAT2は、「膜貫通ヘリックス(TM)1」~同6からなるN末端ドメインと、TM6~12からなるC末端ドメインで構成されており、両ドメインに囲まれた領域に中心空洞が形成されていた。そこにドーパミンが結合することから、そこを介して基質の輸送が行われることが考えられたとする。
またドーパミンとの相互作用解析、点突然変異の導入による輸送活性の変化が測定され、モノアミンの輸送に重要なアミノ酸残基も同定された。特に、ドーパミンのカテコール基と塩基性アミノ酸残基との間で形成される水素結合や塩橋が、ドーパミンの安定的な結合に寄与していることが示されたという。
さらに、テトラベナジンが結合した構造から、同阻害剤がVMAT2の中央空洞全体を占めるように結合することで、広範な構造変化を引き起こすことが判明した。一方、VMAT2が基質を輸送するためには2つのプロトンが必要と考えられていたが、今回の結果からプロトン結合部位として「Asp426」と「Asp399」のアミノ酸残基が推定された。さらに、それらがVMAT2の輸送サイクルにおいて、構造変化を引き起こすための重要な役割を担う可能性も示唆されたとする。
VMAT2は中枢神経疾患の治療標的であり、今回の成果は、同疾患に関連する新規治療法の開発においても貢献できる可能性があるとしている。今回、複数のVMAT2の詳細な構造情報が解明されたことで、既存の薬剤の作用機序がより深く理解されることに加え、新規の阻害剤やモジュレータの開発が加速する可能性があるとした。特に、今回特定されたドーパミン結合部位やプロトン結合推定部位は、新薬開発のための有望な標的領域となる可能性があるとする。これにより、現在治療が困難とされる精神疾患や運動障害に対する新しい治療法が登場することが期待されるとしている。
(波留久泉)
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