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京大、脳の皮質のニューロン内で細胞核が輸送される仕組みを解明

マイナビニュース / 2024年9月19日 16時57分

また、キネシンに結合できないNesprin-2変異分子を発現させたニューロンでは、ダイニンによる輸送活性も低下して核輸送が停滞することが確認された。さらに、Nesprin-2はダイニンとキネシンを協調させ、核周辺の微小管を乗り換えながら核を動かし続けるが、核の進行方向は規定しないことも突き止められた。以上のことから、核がダイニンのみと結合して一方向へ動くというこれまでの解釈が誤りであることを意味するとした。

次に、なぜ細胞内で核が一方向へ前進できるのかが調べられた。その結果、ニューロンでは微小管自体が細胞内をスライドするように前進しており、微小管ネットワークごと核が移動することが明らかにされたという。なお、微小管が前進するメカニズムはまだ不明で、現在研究中とした。

研究チームは、核が微小管を往復しながら動き続けることは、狭い組織空間を大きな核がすり抜けるのに有効だと考えているとする。細胞には、核特異的なNesprin以外に、オルガネラなどの積荷ごとに微小管アダプター分子が多数存在し、そのアダプター分子の機能によって、積荷の大きさや輸送距離に合わせたモーターの連携や輸送方法が選ばれていることが考えられるとしている。

ニューロンの核輸送の異常は先天性の脳奇形の原因となるほか、統合失調症との関係も確認されている。今回の研究成果は、それらの疾患の病因や病態の理解、治療法の開発につながる可能性があるという。また、モータータンパク質を制御して細胞内の標的に分子を運ぶナノロボットを開発し、細胞変性の原因となる異常分子や感染ウイルスに直接薬剤を投与することができるようになる可能性もあるとしている。
(波留久泉)



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