京大、Ia型超新星の爆発メカニズムを「デトネーション」を用いて解明
マイナビニュース / 2024年9月20日 12時57分
その一方で、Ia型超新星に伴う核燃焼デトネーションにおいては、そもそもセル構造がはっきり見えるほどの高解像度のシミュレーションがなされてこなかったという。そこでまず、白色矮星表面のローカルな領域に注目したこれまでにない高解像度のシミュレーションが実施された。その結果、同超新星で想定される状況下においても、セル構造が見られたとする。そして、白色矮星表面の密度や組成の異なる多数のシミュレーションが実行され、それらの性質からセル構造のサイズを決定する数式が考案された。これにより、セル構造サイズに基づいた化学燃焼のデトネーションの理論を、同超新星へ応用する準備ができたとした。
続いて、化学燃焼のデトネーションの理論がこれまでの大領域シミュレーションに当てはめられた。すると、デトネーションが着火した例とそうでない例について、その傾向を同理論でうまく説明できることが示されたとした。研究例によってばらつきのあった点火・消失条件に対し、理論的な基準を上手く提案することができたという。そして今回の研究成果は、以下の2点で重要とした。
1つ目は、化学燃焼のデトネーションの理論の応用により、必ずしも大規模なシミュレーションを行わなくてもデトネーションの着火・消失がある程度判定できるため、どのような条件下でIa型超新星が発生するのか(どのような恒星進化を経たものが爆発しうるかなど)探る上で非常に有用とする。
2つ目は、化学燃焼実験という強い裏付けのある知見が、宇宙物理学における重要な未解決問題に役立つことが示された点とする。今回の研究は、工学実験の分野で発展した視点を理学の重要問題に持ち込んだものであり、学際融合の観点からも重要な機会をもたらすことが期待されるとした。
今回の研究成果は、白色矮星の中心で発生されるとされる2回目のデトネーションに関する検証や、DDとは異なる他の爆発モデルに対する検証など、Ia型超新星の爆発メカニズムに対する理解を大きく進展させる可能性を秘めた手法として、さらなる発展が期待されるとする。研究チームは今後、観測やシミュレーションとのさらなる協調を視野に、化学燃焼実験の応用の可能性をさらに広げていきたいと考えているとしている。
(波留久泉)
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