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クラリベイトがノーベル賞有力候補22名を発表、2名の日本出身研究者も受賞

マイナビニュース / 2024年9月20日 7時0分

2つ目は「光電極系」。東京理科大学の学長も務め、2012年のトムソン・ロイター引用栄誉章の受賞者でもある藤嶋昭氏と、同氏の指導教官であった本多健一氏が見出した本多-藤島効果に基づく電極そのものを見ずに漬けて光を当てることで水素を生成する方法で、安価に水素を生成できる可能性はあるものの、大面積への展開が難しいとされている。そして3つ目が堂免氏が携わってきた「微粒子光触媒系」。微粒子の光触媒を活用して水素を生成しようというもので、「やり方は簡単だが効率を上げるのが難しい」(堂免氏)という。この効率を高める部分が研究の肝となる部分で、微粒子の光触媒は、大きく紫外光に反応するもの、波長の短い可視光に反応するもの、赤外光に近い波長まで幅広い可視光に反応するものと大きく分けることができるが、反応できる波長域が広ければ広いほど、水素を生成しやすくなるため、「この長波長の可視光で反応する光触媒を作りたいという想いがある」(同)とする。

また、反応系としては、一種類の触媒反応で直接的に水を分解して水素を生成する1段階の触媒と、2種類の光触媒を使って酸素を発生させた後に水素を発生させるという2段階(Z-スキームとも呼ばれる)の手法がある。いずれにしても研究室レベルでは水素を生成できることが確認されているが、例えば堂免氏が世界に先駆けて1段階可視光水分解光触媒として2006年に報告したGaN:ZnO固溶体光触媒は数百μmほどの微粒子であるため、大量の水素を一度の生成することができないという課題があった。

そこで堂免氏は、光触媒の微粒子をガラス板の上にシート状にナノシリカを吹き付ける形で固定し、そのシートを内部に入れた水分解パネルを開発。実際に、実証試験を実施し、大面積に展開できることを実証してきた。開発した水分解パネルは25cm角で、水の厚さは100μmほど。実験では紫外光を当てる形で水素が生成されることを確認。このパネルを1600枚組み合わせ、約100m2の受光面積を持つ水素生成システムを東京大学の柿岡研究施設に設置。実際に水素と酸素が生成されること、ならびに水素と酸素の混合気体から分離膜を活用して水素だけを取り出すことができることも確認。「1気圧の水素ガスであれば、流路をコントロールすると安全に扱えることも分かっている」(同)とのことで、利用に際しての安全性にも大きな問題は発生しないとの見方を示す。

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