YouTube『友近サスペンス劇場』が異例のヒット 各局のテレビマンが頭を抱えて悔しがる理由とは
マイナビニュース / 2024年9月25日 11時0分
ちなみに、友近が昭和コンテンツのパロディ動画を手がけるのは初めてではなく、これまでも自身のYouTubeチャンネルで『友近ワイド劇場 黒蛙の美女』などを公開してきた。それだけに『火曜サスペンス劇場』の次は『土曜ワイド劇場』(テレビ朝日、ABCテレビ)の“長尺バージョン”を期待する声があがっている。
『友近サスペンス劇場』が他のパロディコンテンツよりも支持されているのは、決して笑い重視のコントに走らず、当時の再現に徹したことも大きいのだろう。実際、同作を見ていると、「ここは外せない」という昭和の2時間ドラマらしさを押さえつつも、バラエティのような「笑いを誘って視聴率につなげよう」というあざとさや強引さは感じない。
友近ならもっと爆笑につなげる芝居もできるだろうが、あくまでマジメに再現することで、時代間ギャップの面白さが引き出されている。
○各局の財産を活用される悔しさ
とはいえ、作品を問わずパロディは「あえて今、見なければいけない」という必然性は乏しく、「好きな人が見るもの」「それ以外の人にはくだらないもの」という位置付けで見なされやすい。
この手の昭和パロディには「くだらない」などの否定的なコメントがつきものだが、今のところそのような声は極めて少ない。その理由は前述した「再現度の高さ」「笑いに走らずマジメにやり切った」ことに加えてYouTubeの特性によるところもあるのだろう。
基本的に「見たい人だけが見る」YouTube動画は一定のクオリティさえあれば、不特定多数の目にふれやすく関連記事も多いテレビ番組のように否定的な声があがりづらい。「同じような“くだらないコンテンツ”でも、テレビは否定的な声が集まりやすい一方、YouTubeはあまり集まらない」という両者の違いを感じさせられる。実際、テレビはヒットコンテンツでも否定的な声があがるものだが、ネット動画は絶賛のコメントで覆い尽くされるケースが多い。
さらに、「まさかYouTubeで本物に近い90分超のサスペンスドラマを見られると思わなかった」という長さの意外性もプラスに作用しているのではないか。全体の長さが同じとしても、YouTubeは数本の短い動画に分けて公開することが多いだけに、「これだけ長いものを1本で見せ切る」という決断が話題性につながった。
一方、現在のテレビ局が『友近サスペンス劇場』を1本そのまま放送することは難しく、長短を使い分けられる自由度の高さでネット動画にかなわない。
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