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名大など、自動車の軽量化につながる耐衝撃性が高い構造用接着剤を開発

マイナビニュース / 2024年9月25日 19時48分

画像提供:マイナビニュース

名古屋大学(名大)とアイシン化工は9月24日、エポキシ樹脂に対しスチレン系熱可塑性エラストマーを添加し、ゴム成分添加のないエポキシ樹脂系接着剤と比較して衝撃強度が約11倍、剥離強度は約1.3倍となる次世代構造用接着剤を開発したことを共同で発表した。

さらに、名大が独自開発した「水素結合性スチレン系熱可塑性エラストマー」を添加した接着剤では、ゴム成分未添加のエポキシ樹脂系接着剤の衝撃強度が約22倍、剥離強度は約2.1倍にまで向上したことも併せて発表された。

同成果は、名大大学院 工学研究科の野呂篤史講師(名大 未来社会創造機構 マテリアルイノベーション研究所/名大 脱炭素社会創造センター兼務)、同・山田紗椰大学院生、同・梶田貴都研究員、同・西本実緒研究員、同・堀内純子技術補佐員、アイシン化工の藤井吉朗氏、同・坂口和優氏、同・服部和男氏、同・田村博氏、同・加納達弥氏、名大 未来社会創造機構 産学協同研究部門 トヨタ先端材料技術部門の酒井武信特任教授らの研究チームによるもの。詳細は、材料と界面プロセスを扱う学術誌「ACS Applied Materials & Interfaces」に掲載された。

自動車、航空機、建築物など、多くのものが多数のパーツの組み合わせで成り立っており、異なる素材のパーツとパーツを組み合わせるには、クギ、ネジ、ボルト&ナット、リベット、溶接、接着材など、用途や材料などに応じてさまざまな方法が用いられる。そうした中で自動車の開発においては、燃費性能の向上や排出ガスの低減などを実現するため、常に軽量化が求められており、それに加えて走行安定性の向上にも寄与するとされることから、異種材料を適材適所で接合できる構造(骨組み部材)用接着剤の使用率が高まっている。

現在、構造接着材として最も広く使用されているのは、優れた機械的強度と耐久性を持つエポキシ樹脂系接着剤であるが、同接着材の硬化物は一般的に硬く、柔軟性に乏しいため、衝撃強度や剥離強度が低く、外力に対して破損しやすいことが課題だという。優れた同接着剤を実現するには、柔らかいゴム成分を添加し、均一に分散させるのが効果的と考えられているが、ゴム成分は通常エポキシ樹脂には溶解しないため、その分散が難しいことが実現のための障壁となっている。

このような課題の解決策として考えられているのが、エポキシ樹脂に対し、不溶なゴム成分と可溶な成分とを分子レベルで結合させた添加剤を使用するというアイディア。これによりゴム成分をエポキシ樹脂中に均一に分散させることができ、結果として、硬化後の接着剤に柔軟性や耐衝撃性を付与できることが考えられるという。

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