広島大、地震波速度から火星の地下に液体の水が存在している可能性を発表
マイナビニュース / 2024年9月27日 15時28分
広島大学と海洋研究開発機構(JAMSTEC)は9月26日、岩石中を伝わる地震波速度が水の存在や形態によって変化するモデルを応用し、NASAの火星探査機「インサイト」(2018年5月打上げ、2022年12月運用終了)が検出した火星地下の地震波不連続面は、水で満たされた割れ目が存在することで説明できると発表し、現在の火星の地下には液体の水が存在している可能性があることを共同で発表した。
同成果は、広島大大学院 先進理工系 科学研究科の片山郁夫教授と、JAMSTECの赤松祐哉研究員の研究チームによるもの。詳細は、米国地質学会が刊行する地質学に関する全般を扱う学術誌「Geology」に掲載された。
「キュリオシティ」や「パーサヴィアランス」などの探査ローバーを筆頭に、これまでの火星探査で確認された表面の地形の状況や鉱物の分布などから、今から30~40億年ぐらい前の太古の火星には液体の海が存在していたことが示唆されている。しかし、現在の火星大気や表面は乾燥しきっており、過去にあった大量の水がどこに行ってしまったのかが謎となっている。
地球と比べると重力も磁場も弱いために太陽風によって長い間に大気が削られていき、表面に液体の水を保持できる大気圧や気温を維持できなくなり、さらに水が酸素と水素に分解され、水素は軽いために宇宙空間に逃げていってしまったとする考えがある。その一方で、火星の地下に取り込まれた水もあるとする考えもある。そこで火星内部を地震計を用いて探査すべく、2018年に火星に送り込まれたのがインサイトである。
同探査機は地震計を用いて、火星の地殻には地震波速度の不連続面があることを発見。これまでのところ、その原因として、火星地殻の岩石種が異なることや、空隙率が変化することなどが提案されている。そうした中、片山教授と赤松研究員は、さまざまな地球の岩石の地震波速度を測る中で、同速度は岩石に含まれる水やその形態によって変化することを見出していたという。そこで今回の研究では、そのモデルを火星の内部構造に応用することで、火星地殻に検出された地震波速度の不連続面が水の有無によって説明できるのではないかと考えたとする。
火星地殻を模擬した物質の地震波速度を実験室で測ることで、同速度は岩石中の割れ目を満たす物質(水、空気、氷)によって大きく変化することが判明。また、岩石中の割れ目が増えることによって、地震波速度が低下する傾向も見られたという。これらの実験結果は、理論的なモデルとも整合的であり、そのモデルを用いて火星地殻での地震波速度の計算が行われた。
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