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広島大、地震波速度から火星の地下に液体の水が存在している可能性を発表

マイナビニュース / 2024年9月27日 15時28分

その結果、火星の深さ約10~20kmの層に、水で満たされた割れ目が存在することで、インサイトが検出した地震波速度の不連続構造を説明できることが突き止められた。また、縦波と横波の比であるVp/Vsがその領域で上昇していることも、水で満たされた割れ目が存在するモデルと調和的だとする。

ちなみに2024年8月に米国の研究チームが、「インサイトが検出した速度構造から地殻内部に水が存在する」という今回の研究成果と似たモデル(Wrightモデル)を発表し、BBCなど、世界的なマスメディアに取り上げられたという。異なるアプローチから同じような結果が得られたことは重要だが、Wrightモデルと今回のモデルでは、割れ目の形状や空隙率が大きく異なるとする。

割れ目の形状は、楕円体の短軸と長軸の比であるアスペクト比で表されるほか、岩石中の割れ目の体積比は空隙率で示される。Wrightのモデルは、アスペクト比の大きい球体に近い割れ目を想定し、空隙率は17%とかなり高い必要があるのに対し、今回のモデルは、アスペクト比の小さな扁平な割れ目で、空隙率は1%ほどになる。そのため、地下での水の分布やその存在量はこれら2つのモデルでかなり違うことになるとした。

今回の研究成果は、火星表面は乾燥していても、火星地下では液体の水が存在することが示唆されている。それは太古の火星にあった海水が地下に閉じ込められた可能性があるという。今後のミッションで、地震波の速度構造に加え、液体の水やその塩分に敏感な電気伝導度を観測することで、火星内部での水の存在や起源が明らかになることが期待されるとしている。

また、現在の火星地下に液体の水があるのであれば、そこには生命が生息する可能性もあるとする。地球でも、地下の岩石の隙間にも、水や化学反応をエネルギー源とする微生物が生息していることが知られている。それらの微生物の多くは、メタン菌などの化学合成独立栄養生物であり、光の届かない地中であっても生きていくことが可能だ。火星内部にはハビタブルな環境があり、人類のまだ知り得ない地下生命圏が広がっている可能性もあるとしている。
(波留久泉)



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