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岡山大、玉ねぎ含有成分がアルコールの毒から体を守ってくれる可能性を発見

マイナビニュース / 2024年9月27日 16時44分

画像提供:マイナビニュース

岡山大学は9月26日、東アジア人特有の「ALDH2遺伝子多型依存性アルコール不耐症」の肝細胞モデルなどを用いて、玉ねぎなどに多く含まれるポリフェノールの一種の「ケルセチン」が有する、「アセトアルデヒド」の毒性に対する保護作用とその分子機構を解明し、さらにケルセチンはアセトアルデヒド代謝酵素と共に、抗酸化物質合成酵素の発現増強作用を介して、細胞をアセトアルデヒド毒性から保護することを明らかにしたと発表した。

同成果は、岡山大 学術研究院 環境生命自然科学学域(農)の中村宜督教授、同・中村俊之准教授、同・学術研究院 ヘルスシステム統合科学学域の佐藤あやの准教授らの共同研究チームによるもの。詳細は2本の論文にまとめられ、日本農芸化学会が刊行するバイオサイエンス/テクノロジーや生化学などに関する全般を扱う欧文学術誌「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry」と、分子科学に関する全般を扱う学術誌「International Journal of Molecular Science」に掲載された。

酒類に含まれるエタノールの代謝物であるアセトアルデヒドは毒性が強く、さまざまなアルコール性疾患に関わるとされる。その代謝において主な働きをするのが、「アルデヒド脱水素酵素」(ALDH)の一種で、肝臓に高発現する「ALDH2」。しかし、日本を含む東アジア諸国のおよそ半数の人は、ALDH2遺伝子に変異があって酵素活性が低下しているため、お酒に弱い上に、アルコール性肝疾患や肝臓がんリスクも高くなる危険性も指摘されている。そのため、普段から特定の食品成分を摂取することで肝臓のALDH活性を高めることが、アルコールの毒性から守るために役立つ可能性があるとする。

ケルセチンは、果物や野菜に最も多く含まれるポリフェノールの1種であり、近年、その複数の健康維持作用が注目されている。これまでの動物実験では、同化合物がアルコール性肝障害を顕著に抑制することが報告されていたが、アセトアルデヒド毒性に対する影響については不明なままだったとする。そこで研究チームは今回、東アジア人特有のALDH2遺伝子多型依存性アルコール不耐症の肝細胞モデルを構築し、ケルセチンのアセトアルデヒド誘導細胞毒性に対する影響を評価することにしたという。

ケルセチンの細胞保護作用を、ゲノム編集により作製したALDH分子種欠損の培養肝細胞モデルの「aldh2-kd細胞」(以下、細胞1)と「aldh1a1-kd細胞」(以下、細胞2)を用いた評価が行われた。細胞1においてアセトアルデヒド毒性が野生株よりも顕著だったことから、ALDH2がアセトアルデヒドの肝臓での代謝に中心的役割を果たすことが確認された。

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