“家族がめちゃくちゃになった象徴”を守ろうと奔走…画家・落合皎児の息子が半年の旅で解かれた複雑な感情
マイナビニュース / 2024年11月23日 18時0分
父親が大量に残したメモや手紙を手がかりに取材を進めていったが、とても陽介ギフレさん一人で読める量ではないため、宗田Dが一緒に読み込むことも。「元々同じ番組でディレクターとADだった関係なので、今回の取材もディレクターとして追っているというより、ギフレさんが父を知る活動のアシスタントみたいな時期が結構あって、“これで正解なのだろうか…”と悩みながら取材していました」と打ち明ける。
陽介ギフレさんは本業のテレビディレクターの仕事をしながら、この半年間、月の半分は長野に足を運んでいたのだそう。「長野で編集作業もするし、自分の担当番組の打ち合わせもリモートでやっていました」ということからも、父の足跡をたどる旅に大きく力を注いでいたことがうかがえる。
●「家族はひどい目にあったけど、憎んではいない」
皎児さんは酒浸りで変わり者の性格から、幸せな家庭を築くにはほど遠く、帰国後に離婚。その存在に悩まされ続けた家族は心を病んだ。陽介ギフレさんはそんな父の絵について、「自分の家庭がめちゃくちゃになった象徴みたいなもの」「どんだけしんどい思いをしてきたか」と苦しい思いを打ち明ける一方で、「簡単に断ち切れない」「通過儀礼として“さよなら”を言いたい」と、その絵を何とか守ろうと奔走する。
この一見相反する感情を理解できなかった宗田Dが「そんなひどいことをされてきたお父さんにある感情は憎しみですよね?」と聞いたところ、返ってきた答えは「たしかに親父のせいで家族はひどい目にあったけど、憎んではいない。親父のことは憧れもあるけど、人と人として付き合うのが難しい人だっただけ。だから“愛すべきクソ親父”なんだ」というもの。それを聞いても共感することはできなかったが、陽介ギフレさんの旅を追っていき、父親の人柄が徐々に分かっていく中で、陽介ギフレさんの複雑な感情が解かれていくのが手に取るように分かった。
「ギフレさん自身が、お父さんの知人などに会うと“親父ってこういうところがあって、カッコよかったんですよ”って自慢話したり、“こういうところに憧れてたんだな”と言うことがあったんです」という姿を見て、まるで生前にできなかった父親との距離を埋める作業をしているように感じた宗田D。
今回の取材の最後に、陽介ギフレさんに父親への感情の変化を聞くと、「元々は嫌悪感も愛情も憧れも、いろんなものがゴチャっとなった複雑な感情を抱えていたのが、この半年の旅を終えて“好き”という感情だけが残った」と答えたのだそう。
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