人間の感覚を"拡張"し、乗り物を安全に楽しくするデバイスとは? -ヤマハ発動機「感覚拡張HMI」開発者に聞くその仕組みと秘密
マイナビニュース / 2024年11月29日 17時0分
今年5月、パシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2024」にて注目を集めたヤマハ発動機の新技術「感覚拡張HMI」。その技術を活かした「聴覚を利用した後方認知支援デバイス」も展示されました。
このデバイスはスピーカーを内蔵したヘルメット型をしており、運転中に被ることで気配を感じるような“直感的な後方認知”が可能になるという画期的な技術だ。でも実は、バイク以外にも応用が効くらしい。
今回、ヤマハ発動機の本社(静岡県磐田市)を訪問。ヤマハ発動機の技術・研究本部 技術戦略部で心理学の専門家として研究に臨む末神翔さんに話を聞いた。
○より安全で自然な運転につながる新技術「感覚拡張HMI」
――先日お披露目された「感覚拡張HMI」の技術について改めて教えてください。
人間がより自然に、直感的に周囲を認識できるよう、人間の感覚を拡張する技術を「感覚拡張HMI(Human Machine Interface)」と総称し、研究しています。
例えば皆さんも普段歩いているとき、後ろから人の気配を感じたり、何か危ないものが迫ってきたりしたら、本能的に察知できますよね。その感覚を運転中にも発揮できればより安全に、より自然に運転できるんじゃないか、というのが「感覚拡張HMI」の基本的な考え方です。
そのなかでも、現在研究の主役になっているのが「聴覚を利用した後方認知支援デバイス」。これは音を使うことで、後方から接近する車の位置や進路を聴覚で認知させる仕組みで、カリフォルニア工科大学と一緒に研究を進めています。
――車の運転中、大きなトラックが後ろから迫ってきたときなどはなんとなく気配でわかりますが、そういった感覚をより強化するということですか?
そうですね。人間がより自然に、直感的にわかる方法を探る中で、音で通知するという仕組みにたどり着きました。危険を感じる不協和音など様々な音を試すなかで、例えば“ドップラー効果”のような現象に着目しています。
――ドップラー効果……?
サイレンを鳴らした救急車が遠くから近づいて自分の真横を通りすぎる時、急に音の高さが低くなりますよね。この現象が”ドップラー効果”です。
カリフォルニア工科大学との実験で、「視野の左右ギリギリ見えるかどうかという場所に、後ろから前に移動する光を出し、その光の移動が見えるかどうか」という実験を行ったのですが、ドップラー効果のような音を同時に聴かせると急に光の移動がハッキリと見えるようになりました。しかし、似ているけれどドップラー効果とは違う音を聞かせても、光の移動の見え方に変化はありませんでした。人間の脳は、誰かに教えられなくても「この音は、こういう動きをしている音だ」ということを本能的に理解しているんです。
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