1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

人間の感覚を"拡張"し、乗り物を安全に楽しくするデバイスとは? -ヤマハ発動機「感覚拡張HMI」開発者に聞くその仕組みと秘密

マイナビニュース / 2024年11月29日 17時0分

――なるほど、それをヘルメットにつけたスピーカーで再現したと。デバイスの形はすべてヘルメット型なのでしょうか?

いえ、今回はオートバイ向けということでヘルメット型になりましたが、ヘルメットに限らず、例えばウェアラブルデバイスやカーステレオなど、いろんなものに適用可能です。すでに特許も取得しました。

○バックミラーでの後方確認、実は脳に負荷がかかっている!?

――末神さんの専門は心理学ということですが、「感覚拡張HMI」の研究と心理学はどのような関係があるのでしょうか?

心理学というとカウンセリングのようなイメージがあるかもしれませんが、私は人間の知覚や感覚、認識にかかわる“認知心理学”が専門で、その知識を使って研究を行っています。

現在の運転技術って、かなり視覚に頼ってるんですよ。バックミラーやサイドミラーで後方を確認するのも「本来は見えないものを見せてあげる技術」です。運転において視覚は重要ですが、そもそも人間は見えないものを見るようにはできてないんです。

――「人間は見えないものを見るようにはできてない」……どういうことですか?

後ろから来るものを見る必要があるなら、人間の目は草食動物のように横についているはず。でも、前についてますよね。ということは、後ろのものを常に見るようにはできていない。だからミラーを介して後ろを見るわけですが、本来見えないものを見ることは、脳にとってはかなりハードルが高く、相当な負荷がかかっているんです。負荷が高まれば脳は疲れますし、運転に集中できなくなってしまいます。

運転は楽しく、安全であるべきというのがヤマハ発動機の考えです。我々はなるべく(視覚を聴覚が補うという)人間本来の仕組みに基づいて、より自然に、より負荷が低い状態を追求したいと研究を行っています。

――末神さんは心理学の専門家ですが、どのようなメンバーから構成されるチームなのでしょうか。

さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが集まっていますね。心理学を専門とするメンバーが私含めてふたり、そしてデザイナー、エンジニアの合計4人の社内チームに加えて、外部とも協力して研究しています。

デザイナーはユーザーインターフェースやユーザーエクスペリエンスの専門家だけでなく、サウンドクリエイターとして音のデザイン、クリエイティションを担当してくれる専門家もいます。

――後方からの接近を知らせる“音”の設計を考えているということですね。実際、どのような音で、どう知らせているのでしょうか?

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください