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映像業界で日本と世界をつなげる架け橋に――“クリエイトベース”の雨無麻友子Pが感じる構造的問題と期待

マイナビニュース / 2024年11月30日 7時0分

また、資金配分に関しても委員会は作品の制作資金を出資するが、その資金の大部分が制作費以外(プロモーション費用や管理費など)に割かれることが多い。制作現場には十分な資金が行き渡らない状況が続いている。

制作費がなければ、そもそも作品は作れない。この解決案として、「g」の重松氏は「例えば、権利の100%でなく、80%を委員会側に。残り20%の権利をクリエイターにという形にしていく」という案を出す。現状では出資者が権利を保持しているため、海外市場での展開や共同制作がスムーズに進まない。海外配給やプロモーションの戦略が不明瞭なまま進められ、チャンスを逃しているケースが多いのではないか、という考えからだ。

●海外視野のプロデューサーが少なすぎる
海外市場開拓が遅れている要因について、雨無Pは「海外とコネクションを持ち、映画祭の企画マーケットへの参加、海外PRをつけることを考えるプロデューサーが日本には少なすぎる」とも分析する。

どういう映画祭を周り、どんな企画マーケットで、どんな形で、海外で興行をするか。海外の助成金を使う、海外のスタッフを呼ぶ、資金を海外から引っ張る、配給する劇場を増やす――そうした思考の出発点を持つ人が少ない。その背景には、これまではドメスティックな力、日本市場だけで良しとしていた業界にも問題がある。重松氏はそこに課題を抱き、ドメスティックな考えに陥っていない雨無Pに目をつけた経緯もある。

フジテレビ編成時代に月9ブームを起こし、「国際ドラマフェスティバル in TOKYO」の実行委員長も務めた重村一氏は、14年前の第19回JAMCOオンライン国際シンポジウムで、日本のドラマの海外進出が進んでいない問題の本質を「欧米をはじめとして放送局と制作プロダクションは分離されているケースが主流の放送制作体制にあって、日本は50数年の歴史で、テレビ局が制作と放送を一元化して行う体制が維持されてきた。(中略)もし、制作プロダクションが著作権や番組販売に関する権利を自分の意に沿う形で所有していれば、海外への番組販売や、海外との共同制作などは、現状以上に促進されていたのかもしれない」と語っていた。

これについて「g」の重松氏は「一元化しているのに、実際の制作は制作会社が行っているのが問題」と現状を付け加え、「なのに権利はテレビ局が保持している。ゆえに制作した人に権利が渡らず、それを持って海外進出できなかった。重村さんの言葉の裏にはそういったニュアンスがあるのではないかと思います」と推察した。
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