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“圏外のない社会”めざすスカパーJSAT、5G NTN技術検証で横浜にラボ構築

マイナビニュース / 2024年11月30日 18時30分

画像提供:マイナビニュース

スカパーJSATは、横浜衛星管制センター内に、非地上系ネットワークの技術検証環境「Universal NTNイノベーションラボ」(NTNラボ)を11月1日付で構築。『圏外のない社会』をめざし、Universal NTNや5G NTN技術の実現に向けた技術試験の拠点として活用していく。

Universal NTN(NTN:Non-Terrestrial Network)とは、人工衛星や高高度プラットフォーム(HAPS)といった多様な通信プラットフォームを介して、地上に限定せず海や空、宇宙など異なる空間を多層的につなぐ、新しい非地上系ネットワークのこと。

赤道上空約36,000kmから常に同じエリアをカバーできる静止軌道(GEO)衛星や、より地球に近い軌道上を周回する非静止軌道(non-GEO)衛星、地上から約20km上空の成層圏を無人で飛行する機体に通信・観測サービス機能を持たせたHAPSといった、非地上系の通信インフラを組み合わせてネットワークを構築。ユーザーが意識することなく、いつでも、どこでも最適な通信経路へシームレスに自動で接続できることをめざす。

また5G NTNは、地上系と非地上系のネットワークの連携を容易にし、世界中のあらゆる場所や空間で通信インフラを強化できる、次世代の通信技術として期待されているという。

スカパーJSATは、高度が異なる非地上系の通信インフラを融合させる「Universal NTN」の事業化への活動を同月から本格始動。その一環として、同社の横浜衛星管制センター(YSCC:Yokohama Satellite Control Center)のなかに構築したNTNラボを、未来の通信インフラを支える拠点として活用し、さらに企業や研究機関と連携することで、NTN技術の商用化と新たなビジネスチャンスの創出に取り組むとしている。

今回構築したNTNラボでは、3GPPによる5G NTN標準化に対応した技術試験などを自社で行う環境を新たに構築。同社が保有する静止衛星とYSCCの設備を活用し、NTN技術の商用化に向けた技術基盤の構築をめざす。

最新設備による試験環境を整備しており、具体的には、米Viavi Solutionsの「TM500」、独Rohde & Schwarzの「CMX500」といった、5G NTNに対応する高性能ユーザー端末(UE:User Equipment。スマートフォンやタブレット、PCなど通信ネットワークに接続するための端末)と、5Gに対応した無線基地局(gNB)の動作を模擬するエミュレーターを導入。これにより、商用展開を視野に入れた高度な技術検証が可能となり、多様な検証を行う予定とのこと。

3GPPリリース19では、Kuバンドを5G NTNバンドへ追加することが検討されているが、同ラボでは初期試験として、標準化が進むKuバンドと5G NTN技術を活用した試験を計画。この試験を通じて、衛星通信による高信頼な通信環境を提供し、地上系ネットワークと非地上系ネットワークのシームレスな連携を可能とする技術の確立をめざす。

同ラボは段階的に拡張予定で、まずは同社の衛星や設備を活用し、パートナー企業の協力を得ながら5G NTNの基礎技術を検証。設備の充足化・高度化を進めていく。さらに2025年度下期をメドに、さまざまな企業や団体が将来のユースケースに対応した実証試験や技術開発を共同で行えるよう、同ラボのオープン化を計画しているとのこと。
(庄司亮一)

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