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OKAMOTO’Sのアドレス帳 Vol.7  柳川荒士(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)×オカモトショウ(中編)

NeoL / 2015年3月12日 18時0分

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OKAMOTO’Sのアドレス帳 Vol.7  柳川荒士(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)×オカモトショウ(中編)

OKAMOTO'Sのメンバーが友人はもちろん、憧れのアーティストなどをゲストに迎える対談企画第7弾は、パリコレクションにも参加するブランド、JOHN LAWRENE SULLIVANのデザイナー柳川荒士が登場。無類の音楽好きとしても知られる彼が、ファッションに強い関心を持つオカモトショウと初の対談。音楽とファッションというジャンルは違えど、志や姿勢は共通する2人はあっという間に意気投合。熱いトークを繰り広げました。


 

(前編より続き)

柳川「僕たちもたった10分くらいのショーに、4、5か月かけて挑んでるんです。ボクシングもそう。相手が決まったらその一人のためにトレーニングして、1か月前から減量を始めて。試合は3ラウンドKO勝ちもあれば判定勝ちもあり。3分で終わろうが30分で終わろうが、すごく儚い。ずっと頑張ってきたものが、大切だったものが、サクッと終わってしまう。でもまた終わった瞬間から始まっているんですよね。ボクシングも、勝てば次の相手が決められるし、ショーはエンドレスで続いていく。よくみんなに『辛くない?』って言われるんですけど、僕はプレッシャーが好きなんだと思うんです。求められると怖いじゃないですか」

ショウ「それは、どうしてもね」

柳川「でもプレッシャーから逃げていく自分なんて認めたくないから、乗り越えていこうと向き合う。そうやって向き合っていると越えられるというか、自分なりの形にはなっていくし、気持ちがいい。ボクシングも、ちゃんとやっていれば負けても悔しさとともに気持ちよかったりする。ファッションも同じ。当たり前だけど評価は様々で、いいと言う人もいれば悪いと言う人もいる。僕は100人中の80人を取りにいくためにわかりやすいものを作っているわけではなく、自分や自分がやりたいことに対して向き合って、凝縮して絞り出しているから、評価は割れていいんです。逆に評価が割れない方が怖い」

ショウ「確かにそうですね」

柳川「ものを作って発表することは、すごくエゴイスティックなこと。勝手に作って勝手に出すんだからそうですよね。その作品を好きだと言ってくれる人がいて、ちゃんとご飯を食べられていて、新しいものを作る循環をさせてもらっているというのはすごく恵まれている。だからこそプレッシャーから逃げてはいけないし、嘘をつかないもの作りをやっていかないといけない」



ショウ「本当にそう。大多数を掴むいろいろな手法があるのは知っているんです」

柳川「お互い長い間やっていればやり方はわかりますよね。でも、そこを取りにいくにはまだ早い。自分たちが改善すべき点が目に見えてあり、そこにできることが転がっているのに、なぜそれを潰してまで80人を取りにいかなければいけないのかと思う。それが我々の一番苦しいところでもあって」

ショウ「もちろんそのやりたい世界観が外にもちゃんと伝わるようにすることは大切だと思うんですよ。『自分って何? OKAMOTO'Sって何?』となった時に、言葉で説明できる部分とできない部分があるじゃないですか。やりたいことに関してもそう。それを少しでも相手にわかりやすい場で伝えられたり、伝えられる音楽にすることは大事。だけど、それと80人を取りにいくというのは全然別物で、寄せていくことではないと思っています」

柳川「そうやりながら、引き込むくらいのエネルギーは持ちたいなとは思いますけど」

ショウ「そう。最終的には自分の理想を伝えたいと思うし、それで大きくなっていったらそれが一番いいと思います。大勢に認められるのは一つの評価なので、野心としてはもちろんそうなりたい」

柳川「JLSはわかりづらいと思うんですよ。難解にしたいとか、それが大切だと思っているわけではないけれど、自分たちの色を持ちつつチャレンジしていくとどんどん難しくなっていくんですよね。進化して、周りがやらないことに挑戦していかないといけなくなるから。だからメディアや情報を基準にものを見てる人たちには独特のブランドだと感じさせてしまうかもしれない。今はこういう音楽の流れで、こういうものがおしゃれだというようなパターンが世間にはあって、そういうものは消費されていく。それは僕からすると美しくないんですよ。残っていかないと意味がないじゃないですか」

ショウ「寄せていくのが嫌だというよりも、消費されて残らないのが一番嫌ですね」

柳川「時代感というものはあるし、ビジネスとしてやらなきゃいけないこともある。でも時代感からずれていてもどう自分たちらしく態度を持ってやっていくかを考えないと、長い歴史の中に残っていくバンドにもブランドにならない。実際、今すごく尊敬しているバンドやブランドは、過去を振り返った時にやっていたことの筋が通ってる。ずっと態度を貫いて、その進化の延長線上で、時代にマッチした時にブレイクしたり、長い間時間が経った今でも活躍していたりするんですよね。OKAMOTO'Sが今のポジションに自分たちの色を持って立てたことは、ある意味選ばれているわけであり、自分もそうだと思っています。でも、またスタートなんですよね。ある位置に至ってもまたそこからのスタートの繰り返しで」

ショウ「そうですよね。適当に作った作品を買うわけないですし、常に全力でいなくてはいけない」

柳川「そう。例えばパリコレというステージに立ったら、横はみんな大物です。コレクションに100億かけるようなブランドもいれば僕たちのようなブランドもいるけど、誰もよくボクサーからここまで来たねなんて贔屓して見ませんから。でも、そこに立ちたいんですよ。コテンパになってもそこでやりたい。ここでは負けるから1個ステージを下げたいなんて思う人はいないと思うんですよね、本気でやってる人なら。ボコボコになってもしがみついてもここに立っていたい。そしていつかここで時代に突き刺す何かを残したい。毎シーズン1回1回真剣にやって小さな爪痕を残していけば、それが真ん中に突き刺さる時があるかもしれない。そういう時が来るのか、誰にも、自分でも正直わからないけれど、やり続けないと残れないんです。残っているブランドはみんなそこを闘ったと思うし、そこは信じてやっています。売れるのも成功ですし、そうやって名前を残して続けられるのも成功の道だとは思うんです。でもいくら儲けたら成功というのではなく、常に自分を発展、進化させていきたいと思っているからにはゴールなんてないじゃないですか。最後までやりたいことを貫き通す覚悟でやらないと無理だし、僕はそうじゃないと本当にやってる気がしない。どちらの道を選ぶかはその人それぞれですけど、僕はこっちの道を選んだし、周りにもそういう人が多いんですよね」

ショウ「俺もそうです」




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柳川「本当に、ビジネスで成功して続くのも素晴らしいと思うんです。多分同じほど難しいと思うので。一番嫌なのが、その間を行こうとする人たち。金儲けをするなら思いきり金儲けするという覚悟ではなく、揺れながら生きていく人たちもいるけど、そうはなりたくないと思います。僕とショウくんは年齢は一回り以上違うけど、覚悟がある人は話に説得力があるというか、グッと突き刺さってくるものがあるから共感できますよね」

ショウ「俺も荒士さんが言ってたこと全部に、共感の嵐です(笑)。色々悩んでいることもありますが、荒士さんと話しさせてもらっていると悩まない方がいいなと思いました。やりたいことを全部やろうって(笑)」

柳川「僕だって悩むときはありますよ(笑)」

ショウ「もちろんそうだと思うんですけど、やっぱり俺は間違ってなかったんだなって。勇気づけられるというのも違うけど、このままもっと突き進もうと思えます」

──初めて話した時、煤を払えたって言ってましたもんね(笑)。

柳川「あはは。自分たちの力で、自分たちでできることの中で、好きなことをやって何が悪いって思うんです。自分に責任をもって、周りの人やサポートしてくれる人に感謝をもってやる覚悟があるんだったら、アーティスト、トップに立ってやっていく人というのは一番やりたいことをやっていかないとダメだと思います」

ショウ「そうじゃないと夢がないですからね」

柳川「スタッフを養わなきゃいけない、ちゃんと売上を上げなきゃいけないとなっても、自分自身が保守的になるとダメだと思うんです。そして、うちのスタッフは不思議なことに『どうぞやってください』という姿勢なんですよね」

ショウ「ついてきてくれるわけですね」

柳川「そう。多分僕がそういう性格だから周りもそうなっていくし、自分が周りをそうさせていくだけの説得力を持たないといけないんですよ」

ショウ「荒士さんを信じてついていきたくなる気持ちはわかります。一緒に夢を見れますからね。俺もバンドとして夢を見せてあげられるような存在になりたい。この間初めて野音でライヴをやった時に、こういう音楽でもそこに立てるんだというところから始まり、海外で活動することも含めて、口では言わずとも一緒に夢を見られるようなバンドになりたいと思います。自分たちの野心や野望が人にそうやって何かを与えられたら一番いいじゃないですか」

(後編へ続く)

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プレゼント:オカモトショウと柳川荒士のサイン入りチェキを1名様にプレゼントします。


空メールを送信するとプレゼントに応募できます。(←クリック)


ご応募お待ちしております。
後日当選された方にはいただいたメールアドレス宛にNeoL編集部よりご連絡させていただきます。

OKAMOTO'S


オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)。2010年5月にアルバム『10'S』、11月に『オカモトズに夢中』、2011年9月に『欲望』を発売。2013年1月に4thアルバム『OKAMOTO'S』を発売。2014年1月15日に岸田繁(くるり)を迎えた5th アルバム『Let It V』を、8月27日にはRIP SLYME、奥田民生、黒猫チェルシー、
東京スカパラダイスオーケストラ、
ROY(THE BAWDIES)らとコラボを果たした5.5 thアルバム『VXV』を発売。5周年アニヴァーサリーツアー「OKAMOTO'S 5th Anniversary HAPPY! BIRTHDAY! PARTY! TOUR!」のファイナルでは東京・日比谷音楽野外大音楽堂を埋め尽くした。2015年2月4日、6thシングル“HEADHUNT”をリリース。同作品はアニメ「デュラララ!!×2 承」の主題歌となっており、期間生産限定盤ジャケットは完全書き下ろしイラストを使用。初の映像作品『OKAMOTO'S 5th Anniversary HAPPY! BIRTHDAY! PARTY! TOUR! FINAL@日比谷野外大音楽堂』が3月18日に発売される。また、3月にショートサーキットツアー「OKAMOTO'S 2015 SPRING LIVE CIRCUIT~ハマ☆クン24~」の開催と、4月に東京・大阪・名古屋を回るスペシャルワンマンライヴツアー「OKAMOTO'S LIVE 2015 CDVDC」を敢行予定。

http://www.okamotos.net


柳川荒士


2003年「JOHN LAWRENCE SULLIVAN」を設立し、テーラードを軸としたメンズウエアを展開。2007年SSから2010年AWまで東京コレクションに参加。2008年、旗艦店を中目黒にオープン。2011年AWよりパリコレクションに参加。強さとエレガントさを持ち合わせた男性像を基本的コンセプトとしている。また、2010年SSシーズンよりレディースラインも展開しており、メンズテーラードの技術を駆使したシャープな印象が特徴的である。


http://www.john-lawrence-sullivan.com


撮影 中野修也/photo Shuya Nakano


文 桑原亮子/text  Ryoko Kuwahara

 

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http://www.neol.jp/culture/

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