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『ピンクとグレー』菅田将暉インタビュー

NeoL / 2016年1月7日 16時55分

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『ピンクとグレー』菅田将暉インタビュー


2015年は彼にとって爆発的な飛躍の年となった。演技力に磨きがかかり、映画、テレビドラマ、そしてCMなど、あらゆる活躍の場において才能を遺憾なく発揮。今やその姿を見ない日がないほどお茶の間にも浸透した彼は、若手実力派として、2016年もますます目の離せない存在となることは間違いない。


そんな菅田の新春最初の出演作となる映画が『ピンクとグレー』だ。原作は加藤シゲアキの小説デビュー作。そのクオリティの高さと衝撃度をそのままに、名匠・行定勲監督が驚きの“仕掛け”を擁して描き出したこの本作は、脚光を浴びる若手スターの死をめぐるミステリーであり、男女3人の青春群像であり、また照り返す光のように観る者の心の中の“ピンク”と“グレー”をあぶり出す問題作でもある。


中島裕翔、夏帆と共に映画の主軸を担う菅田は、いかにして本作に挑んだのか。役づくりの過程、舞台裏のエピソード、そして気になる2016年の展望や豊富など、果敢に進化を続ける逸材・菅田将暉の本音にググッと迫ってみた。


 
「スクリーンいっぱいに暴れてみせる」

———映画『ピンクとグレー』とても面白く拝見しました。まず真っ先にお聞きしたいのがファースト・インプレッションです。中盤に大きな“仕掛け”を内包した本作、菅田さんは最初に脚本を目にした時、率直にどう感じられました?


菅田「そうですね、ものすごく面白いことを狙っていることは瞬時に理解できました。でもその反面、これは難しいぞ、と思いました。文字として成り立っていても、これを役者たちだけで成立させるのはかなり大変だろうなと」


———実際の完成した作品を観て、いかがでした?


菅田「とても分かりやすくなっていたので、すごく安心しました。純粋に楽しめるエンターテインメントな部分と、その澄み切った世界観を濁すように彩られたアンダーグラウンドな部分がきちんと共存している。さすが行定(勲)監督だなと思いました」


———今回の『ピンクとグレー』で菅田さんが演じるのは、俳優を目指す一人の青年役。親友の死を経て、さらに中盤以降には驚きの展開が待っている。まさに菅田さんにしか演じることのできない一筋縄ではいかない役どころですね。 


菅田「脚本を読んで、これはもう、好きなように暴れてくれっていうことなんだなと(笑)。いわゆる行定監督からの愛のムチですよね。『スクリーンいっぱいにとことん暴れてやろう』と心に決めました」


———役作りはどのように?


菅田「最初のミーティングの時から行定監督と『こういうヤツいたら嫌だよね』とか雑談を重ねながら少しずつ輪郭を固めていきました。普段の私服のセンスや、佇まいとかも含めて、何か独特の“いやらしさ”を持っていて、それでいて世渡り上手。目指したのはそんなキャラクターです」




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「裕翔は、間違って人間に生まれた天使」

———今回の撮影を通じて、演じる上での新たな発見などはありましたか?


菅田「これは主演の(中島)裕翔と絡んで初めて気づいたことなんですが、エンジンのかかり方が二人とも違うんです。僕はカメラが回って本番一発目に照準を合わせていくタイプ。対する裕翔は、回数を重ねることで、どんどんクオリティが上がっていく。だから行定監督はOKの出しどころがすごく難しいっておしゃっていましたね。でもだからと言って僕が裕翔に合わせるのも彼に対して失礼にあたると思ったので、僕はいつもどおり、素直に一発目に全力を出す。ダメならもう一回全力でいく、という風に努めました」


———いまお話にも登場した中島裕翔さんですが、本作は彼にとっての初主演でもあります。その座長ぶりは菅田さんにはどのように映りました?


菅田「彼を嫌う人は、たぶん世界に一人もいないと思います。僕は個人的に、中島裕翔とマイケル・ジャクソンは間違って人間に生まれてしまった“天使”だと思っているので(笑)」


———素敵な言葉をいただきました(笑)。具体的にはどういうところが天使?


菅田「邪気がないんです。もともと備わってないのか神様が入れ忘れたのか分からないんですけど。人当たりの良さがズバ抜けているというか。ジャニーズでの仕事ぶりを見ているとすごく発信することに長けているように見えるし、その感覚もしっかり持ち合わせているんです。映画の中でPVのようなものを撮るシーンではパッと、キラキラした表情でキメてくるのでさすがだなと思いました。


でもその反面、この映画はみんなが裕翔の演じるキャラクターをいじめる作品でもあるので、実際には彼は“受け”側なんですよね。そういう意味で、彼には相手の発言や態度に対して素直に応じて返せる能力が備わっていて、僕はそのコミュニケーション能力に驚かされました。研ぎ澄まされた“品”のようなものが備わってる。そんなイメージですね。もう、べた褒めです」


———いちばん身近なところで見ていて、中島さんの初主演の気負いみたいなものは感じました?


菅田「それは悩んでいましたね。やはりプレッシャーがあるでしょうし、映画という未知の領域に飛び込むわけなので、不安な部分もあったと思います。でもそんな時に一人で抱え込まず、たくさんこちらに聞いてきてくれたのが嬉しかった。それに対して『こういうことなんじゃない』と自分なりに答える中で、気がつくと仲良くなって、知らないうちに肩組んでる、という。そんな人です(笑)」


 



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嫉妬し合い、なおかつ認め合う仲間たち

———本作では俳優を目指す二人の若者がいて、彼らの実力の差はどんどん乖離していってそれが葛藤を生みます。俳優・菅田将暉の周りにも同年代の同業の仲間がたくさんいらっしゃると思いますが、互いにライバル意識が芽生えたりすることは?


菅田「もちろん、あります。お互いの作品に嫉妬しますし、褒め合うし、意見も言います。でも面白いことに、僕にとっての親しいメンバーはここ5、6年くらい全く変わらないんです。それはこの業界だと稀有で、みんなが同じようにレベルアップしていかないとありえないこと。山﨑賢人や、太賀、掛け替えのない仲間と一緒にキャリアを重ねているのはとても嬉しいです」


———菅田さんの演技を見ていると、どの作品でも相手との空気感のようなものをとても大切にされているんだなあと心酔してしまいます。以前、NHK「鶴瓶の家族に乾杯」にご出演された時、素の菅田さんもまた、すごく空気を大事にしていて、一般の方の懐にすっーーと入っていかれていて。


菅田「おお〜、よく見てくださっていますね〜。もともと僕はコミュニケーションが得意な人間ではないんで、表に出ることや目立つことって昔からそんなに好きじゃないんです。というのも、うちの父がすごく前に出るタイプの人間で……ド関西人なんですよ。学校の参観日に白いメガネをかけてきたりする。いつも黒なのに(笑)! そんな姿を見て育ったからか、僕は『そんなの恥ずかしい』ってなってしまう。だからこそ、僕はむしろ人と丁寧に接するタイプなのかもしれないですね」


———とても興味深いお話です。


菅田「それで相手と話してみて、しっくりこなければ無理をせずにすぐ離れちゃう。そこで少しでも相手に興味を持てれば、後はガンガンと攻めていきます。人には何かそういった直感的なものがありますよね。ほんと、そういうものでしか生きていない人間なんです、僕は」


 



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「好きなものや憧れを“超えていく” 年にしたい」

———菅田さんにとって2015年は大躍進の年となりました。改めて振り返ってみていかがですか?


菅田「今年はコスプレに近いくらいに、とにかくいろいろな演技や役柄に挑戦させてもらいました。衣装合わせも楽しかったですし、出来上がったものをご覧になった方の感想も一人一人まったく異なっていて、そういった反響の面でも面白かった。そういえば、この前、バラエティ番組で『菅田さんの印象を街で聞いてみました』という企画があって、最も多い印象でも割合としては全体の10パーセント程度の低い値だったんです」


———それだけイメージが固定化されていないわけですね。


菅田「そうなんです。明るかったり、暗かったり、チャラかったり、ナルシストだったりと、見る人によって全く違ったイメージで受け取られているという。僕としてはその結果が嬉しかったですね。今後、役を演じる上でもやりやすいですし、常にフラットな立ち位置にいることができるので」


———2016年の幕開けです。本年の抱負をお聞かせください。


菅田「2015年は個人的に音楽イヤーでもありました。実在の尊敬すべきミュージシャンを演じたり、弾き語りを披露したり。そんな中で自分の憧れているものや人物を、ただ崇めるだけではいけないなって思うようになりました。例えば福田(雄一)監督の作品で俳優のムロツヨシさんとご一緒した時に、「うわっ、この人、面白いな!」と思わず身構えたんです。役者としてそれではダメで、こっちはこっちでしっかり応えていかなきゃいけない」


———なるほど。


菅田「この前、仲間と喋っていた時、ミュージシャンの方々のお芝居の凄さの話になりました。銀杏BOYZの峯田さんや、星野源さんの、とてつもないパワーがあって、なおかつ演技に生き様が見えて、本当にすごい方たちです。でも、その時に、ふと思ったんです。そういう方々の才能にジェラシーを感じるのはもうやめにしよう、って。僕らだっていろいろな種類の役をこなしてきているのだから、負けるはずはない。それくらいの気持ちを持って、2016年は好きなものを好きな対象のまま留まらせず、むしろそれを“超えていく”ことを僕の大きな目標にしたいですね」



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撮影 中野修也/photo  Shuya Nakano


取材・文 牛津厚信/interview & text  Atsunobu Ushizu


企画構成・編集 桑原亮子/edit Ryoko Kuwahara




『ピンクとグレー』


2016年1月9日(土)全国ロードショー


出演:中島裕翔 菅田将暉 夏帆 岸井ゆきの 宮崎美子/柳楽優弥


監督:行定勲 脚本:蓬莱竜太・行定勲 原作:加藤シゲアキ「ピンクとグレー」(角川文庫)


音楽:半野喜弘  製作:「ピンクとグレー」製作委員会


配給:アスミック・エース


(C)2016「ピンクとグレー」製作委員会


http://pinktogray.com


公式Facebook: :pinktogray


公式Twitter:@pinktograymovie


【STORY】


大人気スター俳優・白木蓮吾が、突然、死んだ。


第一発見者は幼い頃からの親友・河田大貴。蓮吾に何が起きたのか?


動揺する大貴は、6通の遺書を手にする。遺書に導かれ、蓮吾の短い人生を綴った伝記を発表した大貴は、一躍時の人となり、憧れていたスターの地位を手に入れる。初めてのキャッチボール、バンドを組んで歌ったこと、幼馴染のサリーをとりあった初恋…。


いつも一緒で、いつも蓮吾が一歩先を進んでいた―。輝かしい青春の思い出と、蓮吾を失った喪失感にもがきながらも、その死によって与えられた偽りの名声に苦しむ大貴は、次第に自分を見失っていく。


なぜ、蓮吾は死を選んだのか?なにが、誰が、彼を追い詰めたのか?


蓮吾の影を追い続ける大貴がたどり着いた“蓮吾の死の真実”とは―。


芸能界の嘘とリアルを現役アイドル加藤シゲアキが描いた問題作を、『GO』『世界の中心で愛をさけぶ』の行定勲が、映画初出演・中島裕翔を抜擢し、映画化。


幕開けから62分後の衝撃。ピンクからグレーに世界が変わる“ある仕掛け”に、あなたは心奪われる―。


関連記事のまとめはこちら


http://www.neol.jp/culture/

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