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OKAMOTO’Sのアドレス帳 Vol.11 Toro Y Moi × オカモトショウ

NeoL / 2016年3月27日 18時0分

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OKAMOTO’Sのアドレス帳 Vol.11 Toro Y Moi × オカモトショウ

 

OKAMOTO’Sのメンバーが友人はもちろん、憧れのアーティストなどをゲストに迎える対談企画第11弾は、初の海外ゲストが登場。ショウが制作にあたって影響を受けたというトロ・イ・モワを迎え、濃密な対談を果たした。


 

ショウ「はじめまして。俺はバンドでボーカルをやっているショウといいます。あなたの音楽の大ファンなので、お会いできてすごくうれしいです」
トロ・イ・モワ(以下、T)「こちらこそ。バンド名はなんていうの?」
ショウ「OKAMOTO'Sです。“オカモト”というのは日本の苗字、たとえるとラモーンズの“ラモーン”の様な感じ(笑)」
T「なるほど。いいね(笑)」
ショウ「OKAMOTO'Sはメンバー全員がザ・ローリング・ストーンズやザ・フーのようなロックバンドが大好きで、最初は彼らのようになりたかった。あとは、ザ・ドアーズやMC5やザ・ストゥージズもそう。昔のロックに影響を受けてバンドを始めました」
T「ロックンロールだね」
ショウ「そう。でも、今はロックだけではなくさまざまな音楽に夢中になって。様々な要素を取り入れつつ、今の時代に鳴らすべきオリジナルの音楽を作りたいと思っています」
T「すごくいいね」
ショウ「あなたはどうですか? 最初に夢中になった憧れの存在はいました? それとも最初からオリジナルな音楽を作ろうとしてた?」
T「音楽を始めたときは自分の好きなアーティストのコピーばかりしてたね。コピーって悪いことじゃないと思うんだ。それは執筆にしろ、ビジュアルアートにしたってそう。何かを始めるきっかけはコピーでいいと思う。僕もそれこそラモーンズやセックス・ピストルズ、ウィーザーやピクシーズをコピーしてたよ。僕と今ライヴを一緒にやってるバンドのベーシストは14歳のときからずっと一緒にプレイしてるんだ」
ショウ「すごいですね!」
T「そこから発展していって、だんだんアンダーグラウンドミュージックが好きになって、たとえばアット・ザ・ドライヴインのようなメインストリームではない音楽にハマっていったんだ。ブライド・アイズとかね。そうやっていろんな音楽に影響されていくうちに、オリジナリティのあるユニークなサウンドが自然と出てくるようになったんだと思う。5人編成のバンドでプレイしようが、アコースティクギターやピアノで曲を作ろうが、みんながそれぞれ自分だけの何かを持ってると思うし、それが結果的に音楽ににじみ出ると僕は思ってる。すぐには出てこないかもしれないけど、だんだん表に出てくると思うよ」
ショウ「あなたの音楽にはすごくオリジナリティを感じていて。それが素晴らしいと思います」
T「ありがとう」
ショウ「最初はコピーから始まったんですね。OKAMOTO'Sのメンバーも中学生からずっと一緒にバンドをやっていて、あなたとベーシストと同じような関係を築いています」
T「そうなんだね。誰かと一緒に変化するのがベターだと思う。特に友だちと変化できたらいいよね。友だちと一緒にステージに立てるのってすごくうれしいじゃない? ツアーのときだけに雇われたバンドではなくて、学生時代から一緒の友だちと演奏できるのって最高だよね」
ショウ「本当にそう思う」




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——トロ・イ・モワの最新アルバム『What For?』はバンドサウンドがフィーチャーされてますが、あなたはアルバムごとにかなりモードを変化させますよね。 T「音楽を作ってるときは自分が退屈しないように心がけてるんだ。あと、音楽を作らなければいけないという義務感を持たないようにしてる。何よりも楽しく音楽を作ることをつねに意識していて。それを満たすには変化が大切になる。ロックンロールからヒップホップにモードチェンジしてみたりね。それはリスクのあることだけど、同時に醍醐味でもあるんだ。リスクってどんなことにも伴ってるものだから。クルマや飛行機に乗ることだってリスクが生じるし、家を出るという行為だってそう。生活にはリスクが不可欠なんだ。そのリスクがあるからこそ、毎日がおもしろくなる。だから、自分の音楽が人々に受け入れられようが、受け入れられまいが、僕はいつもリスクを楽しみながら曲を作ってる」
——OKAMOTO'Sのニューアルバム『OPERA』もまさにそういった日常のリスクやアクシデントをきっかけにストーリーが展開されていくロックオペラなんですよ。 T「ナイス!」
ショウ「サブスクリプションが普及して、アルバム単位で作品が聴かれることが希薄になりつつある今の時代にロックオペラを作るなんてクレイジーだと言う人もいるけどね(笑)。ひとつのストーリーを軸にして、各曲が繋がってるというアルバムなんです」
T「クールだね。すごくいいと思う。そういうアルバムを作ることで、自分たちが型にはまってないことを実感できるでしょ? そのフィーリングってなかなか感じられるものじゃないし、貴重だと思うよ」
ショウ「実はそのアルバム制作の最中に『What For?』に強く影響を受けました」
T「ホントに!? それ最高!」
ショウ「本当に。あの作品も素晴らしかった」
T「ありがとう。すごくうれしいよ。インターネットの反応を見ていると、トロ・イ・モワ=エレクトロって思ってる人が多くて。だから僕の音楽のギターサウンドを気に入ってくれるのはすごくうれしい」
ショウ「もちろん、バンドサウンドに傾倒しているのも印象的なんだけど、俺はメロディがすごく気に入っていて。突然メジャーコードからマイナーコードに変化する部分だったり。あれを聴いて『これだ!』と思ったんです(笑)」
T「うれしいよ。メジャーからマイナーに変化するところは僕も気に入ってる。ザ・ビートルズもよくやってる手法だよね。マイナーキーのヴァースからメジャーキーのコーラス(サビ)に入ったりね」
ショウ「そうです。それまではメジャーコードで曲を作り始めたら、ずっとメジャーコードで進めていたんだけど、『What For?』を聴いてコードにとらわれなくていいんだと思えました。自分が変えたければ変えていいんだって(笑)。『What For?』はそのうえでメロディが美しいのでなおさら素晴らしい」
T「ありがとう。音楽にルールはないからね。それはアート全般に言えること。自分が感じるままに表現すればいい。もちろん、ちょっとしたルールはあるんだけどね。ポップミュージックを作りたければアバンギャルドになりすぎたら上手くいかないし。だから、作りたい音楽にもよるんだけど、基本的にはたとえジャンルやフィールドが異なっても自分が好きなことをしていいんだよ。それもつねに僕が意識してることだね」
ショウ「音楽を作っているときに、自分以外は誰もその作品を好きにならなくてもいいと思って作るんですか?」
T「そういう考えがいきすぎるときもあるよ。でも、だいたいは最初に感じたフィーリングを活かして、流れに任せて作るようにしてる。リスナーの反応を必要以上に考えることって、クリエイティビティの大事な部分が揺らいでしまう要因になるから。リスナーの反応を考えずにはいられないのも事実だけど、なるべく考えないようにしてるね。これもさっき話したルールにとらわれないという考え方に繋がってくる話で。僕は成功することに貪欲じゃないから、みんながロックをやっていれば逆にエレクトロがやりたくなるし、その逆も然りなんだ」




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——『What For?』がバンドサウンドに寄ったのもそういう影響があるんですか? T「それも理由のひとつではあるね。あとは、友だちと一緒にツアーを回りたいと思ったのも大きいね。長らく3ピースでエレクトロニックミュージックをプレイしていたんだけど、それは完全に自分がやりたいライヴではなかったから。それで『What For?』はバンドのために曲を書き始めたんだ。ドラムブレイクがあるような曲をね」
ショウ「俺らのバンドの曲は俺とギターが中心に作っているんだけど、ひとりで曲を作っているときの充実感がすごくあって。バンドでセッションすることも大好きだけど、自分のやりたいことを100%反映できるデモを作るときの楽しさも特別だなと思います」
T「僕もまずはひとりでデモを作る過程を楽しんでる。そのほうが結果的にまとまりのある作品を作ることができると思うしね。たとえば厨房にシェフが何人もいたら統一感のある作品ができにくいとは思わない?」
ショウ「そう思う。あなたは、今はバンドと一緒にプレイしてるけど、これまではすべての楽器を自分でプレイしてレコーディングしてきたじゃないですか。正直、たまに俺もひとりで作品を作りたくなることもあって(笑)」
T「ライヴではバンドでプレイしているけど、『What For?』も大部分は僕が自分でプレイしてるんだ。ドラマーが4曲くらいプレイしてくれてるだけで、あとは全部自分でプレイしてる。だから、今もひとりで作業することは大好きだよ」
ショウ「なるほど、バンドでツアーをするために作ったアルバムではあるけど、ほとんどひとりで作ったんですね(笑)」
T「そうそう(笑)」
ショウ「俺はまだまだバンドでやるべきことが尽きなさそうなんだけど、隣の芝生は青く見えるというか、たまにひとりで音楽を作るのもおもしろそうだなと思うことはある」

——2014年にはレ・シンズ名義でダンスミュージックに特化した作品をリリースしましたけど、それはトロ・イ・モワの音楽的なアプローチと差別化したかったからですか? T「そう。いろんな人がトロ・イ・モワのことを“DJ”って呼び始めたときがあって。だから、『違う、違う! トロ・イ・モワはエレクトロ以外の音楽も作るんだ!』って言いたくて。それでDJっぽいダンスミュージックに特化したレ・シンズをやることにしたんだよね。いまだにエレクトロミュージックを作るのは好きだし、それはそれで楽しみたいと思って。そのなかにハウスやヒップホップ、アンビエントなサウンドを取り入れたりね。だから、レ・シンズをたとえるなら“曲”ではないすべてのサウンドをアウトプットするプロジェクトかな」
ショウ「なるほど。アウトプットするプロジェクトがいくつかあるのはいいですね」
T「だろ? そっちのほうがプレッシャーもないし」
ショウ「レ・シンズのアプローチも大好きです」
T「ありがとう」
ショウ「それもトロ・イ・モワがあるからこそできるプロジェクトなんだろうし。羨ましい(笑)。俺もソロプロジェクト挑戦してみたいな」
T「やっちゃいなよ!(笑)。


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——ショウくん、あっという間なんだけど、残り時間があと5分くらいしかなくて。最後にトロ・イ・モアに訊きたいことはある? ショウ「時間ないけど、2つ訊いていいですか?」
T「もちろん」
ショウ「シンプルな質問なんだけど、ひとつは『一番好きなバンドは?』ということ。もうひとつは、『あなたの音楽は“チルウェイヴ”と称されることが多いと思うけど、それについてはどう思ってますか?』ということ」
T「一番好きなバンドは……難しいな」
ショウ「なかなか選べないよね(笑)」
T「ビートルズみたいなバンドかな。すごくアイコニックなバンドだと思うから。彼らはパーフェクトと言っても過言ではないし、アーティスト性もサウンドプロダクションも素晴らしい。そういう意味でもビートルズかザ・ビーチ・ボーイズかな。ウィーザーやピクシーズみたいなバンドを挙げてもいいんだけど、ウィーザーやピクシーズはある特定の時期に聴きたいバンドなんだよね。もちろん、大きな影響を受けたバンドではあるんだけどね。でも、ビートルズは自分の人生でずっと聴き続けると思う。あとは、マイケル・ジャクソンもそうだね。だから、質問の答えはビートルズだね(笑)」
ショウ「聞けてよかった」
T「チルウェイヴと呼ばれることに関しては、音楽でもなんでも何かを広げるためには呼び名が必要なんだと思う。ジャズだって最初は変なサウンドだと思われていただろし、ロックンロールも最初はそれまでなかったサウンドだったわけで。チルウェイヴって僕にとっては、“なんか変なサウンド”みたいなイメージで(笑)、いろいろあるジャンルのひとつって感じ。僕自身はジャンルに関してはニュートラルだから、自分の音楽がなんのジャンルか考えたことがないんだ。でも、結果的に新しい音楽として認識されたのはうれしいよ。それはレアなことだと思うし」
ショウ「あえて訊くと、もし誰かに『あなたはどんな音楽を作ってるんですか?』と訊かれたら、なんて答えますか?」
T「“ロックンロール”って答えるね」
ショウ「カッコいい!」
——ちなみに日本の音楽を聴くことはあるんですか? T「聴くよ。アーティスト名を覚えるのが難しいんだけど、日本の80年代の曲をミックスしたりしてるし」
ショウ「本当に!? 日本の80年代の音楽にはいい曲がたくさんあるでしょ?」
T「そう。それで、YouTubeで見つけた日本のテレビコマーシャルの音を挟み込んだミックス音源を作ったんだ。(と、言って自身のiPhoneからミックス音源を聴かせてくれる)いい曲だよね」
ショウ「そのミックス音源ほしいな」
T「アドレスを教えてくれたらメールするよ!」
ショウ「ありがとう!」

撮影 倭田宏樹/photo Hiroki Wada(Tron)
インタビュー・文 三宅正一/interview & text Shoichi Miyake(Q2)
企画・編集 桑原亮子/edit Ryoko Kuwahara


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トロ・イ・モア×オカモトショウのサイン入りチェキを2名様にプレゼントします。空メールを送信するとプレゼントに応募できます。(←クリック)ご応募お待ちしております。
後日当選された方にはいただいたメールアドレス宛にNeoL編集部よりご連絡させていただきます。



toroymoi


Toro Y Moi
『What For?』
(Carpark / Hostess)
発売中
※日本盤はボーナストラック2曲、歌詞対訳、ライナーノーツ付

http://www.amazon.co.jp/What-Toro-Y-Moi/dp/B00SR5ZBNG/ref=sr_1_1?s=music&ie=UTF8&qid=1458926542&sr=1-1
https://itunes.apple.com/jp/album/what-for/id958891694?app=itunes&ls=1&at=11lwRX

Toro Y Moi
1986年生まれ米サウスキャロライナ州出身現在カリフォルニアを拠点に活躍する、アフリカ系の父親とアジア系の母親を持つチャズ・バンディック によるプロジェクト。2010年に<Carpark>からデビューし、現在までに4枚のフル・アルバムを発表。作品ごとに評価を高め、2013年 にリリースしたアルバム『エニシング・イン・リターン』も国内外メディアから絶賛を浴びた。ここ日本でもロック~クラブ・ファンまで絶大な人気を 誇り、単独公演はもちろん、フジロックやTaicoClub、Hostess Club Weekenderへの出演も果たしている。2015年リリースの最新作『ホワット・フォー?』をリリース。2016年1月には、自身初となる3都市を回るジャパン・ツアーが決定。

OKAMOTO'S
オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)。2010年5月にアルバム 『10’S』、11月に『オカモトズに夢中』、2011年9月に『欲望』を発売。2013年1月に4thアルバム『OKAMOTO’S』を発売し、7月に は両A面シングル“JOY JOY JOY/告白”を、11月6日にニューシングル“SEXY BODY”をリリース。2014年1月15日に岸田繁(くるり)を迎えた5th アルバム『Let It V』を、8月27日にはRIP SLYME、奥田民生、黒猫チェルシー、東京スカパラダイスオーケストラ、ROY(THE BAWDIES)らとコラボを果たした5.5 thアルバム『VXV』を発売。2015年9月30日、6th『OPERA』をリリース。「OKAMOTO'S TOUR 2015-2016“LIVE WITH YOU”」のツアーファイナルではZEPP DIVER CITY TOKYOをソールドアウトさせ、大成功をおさめた。
http://www.okamotos.net

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http://www.neol.jp/culture/

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