1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ビューティー

藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#33 スピリチュアル・ヒーリング

NeoL / 2016年9月1日 5時0分

写真

藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#33 スピリチュアル・ヒーリング



「スピリチュアル・ヒーリング」、というのをご存知だろうか?日本語に翻訳すると、「霊的治療」となるちょっと怪しく響く治療法なのだが、イギリスでは保険がきくほどに認知されていて、だとすればその効果も保証されているはずだ。自分もハリー・エドワーズさんの著作を読んだりして僅かながら知識を得たのだが、結果から言うと、こういうこともあるのだろう、いやあるに違いないと思うに至っている。
まず、ハリー・エドワーズさんという人物を説明するために、国書刊行会発行の著者「霊的治療の解明」から抜粋引用する。
Harry Edwards(1983~1976)ロンドン生まれ。キリスト以来最大の霊的治療家と言われる。陸軍大尉退役後に霊的治療能力に目覚め、不治や難病奇病の人々を含む世界各地からの治療依頼者を治癒させ、その奇跡的な治療能力は、英王室や英国国教会、英国医師会からも認められた。長く英国霊的治療家連盟の会長を務め、世界の霊的治療家の最高峰と仰がれる。
王室、宗教、科学のそれぞれから認められているとあらば、まずその効果は間違いないと思う。
イギリスというのは、伝統を重んじる保守的なイメージもあるが、一方でかなり柔軟だ(パンクとか生んでるしね)。日本であれだけ叩かれたホメオパシーにしてもイギリスではごく普通の選択肢であるし、治療の分野ではその効果を認めることにとても柔軟だと言える。
さて、本題に戻る。スピリチュアル・ヒーリングというのは、簡単に言えば、霊の力による治療である。
ここで、えっと絶句する人も多いかもしれない。霊の存在すら不確かなものなのに、その霊によって行われる治療などどう解釈すればよいのだろう、と。
英王室、国教会、国医師会、などという言葉を思い出し、そのトリプルネームに腕を組んでしまうところだ。最高のお墨付きがあるし、騙されたと思って、ここは聞いてみようと大方の人も思ってくれるだろう。
なんといってもハリーポッターの国である。目に見える世界以外にも、異界があることを伝統的に受け入れているのだろう。霊の存在は大前提だ。その上で霊達が人間の病気や怪我を治してくれる。
この霊の存在を認めることに関しては、われら日本人も負けていないのではないか。特に私が今住む沖縄では、祖先崇拝が盛んで、仏教も神道も内地ほどに盛んではなく、もっぱら拝みの対象は祖先が強い。つまり霊というものをはっきりと認めているのである。

(2ページ目につづく)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA



 

果たして霊はいるのだろうか?
その問いに対して科学的根拠の無さを足場に否定する意見は、四角四面で味気ない。科学にしても宗教にしても霊界にしても、ハイエンドな知識は一部の専門家のみが理解できるだけで、一般人にとって不可視である。つまり私の実感としては科学も実は見えない世界である。それを絶対的な根拠として信用してしまうのは、スマホや家電や車など、科学技術によって現代生活がバックアップされている可視の部分の影響が多い。
だが、願いが叶ったり、想いが通じたり、直感が当たったりした時に感じる、見えないが確実に存在する世界もしっかりと傍にある。
私には、見えようが見えまいが、あるものは有る、あると感じられるものはその人の時空で確実に存在すると思う。その方が、楽しいしね。杓子定規、四角四面はセクシーではない。私は、存在するものには遊びと色気が必要だと信じているので、科学も非科学も、どちらも信じてしまえばいいと思う。その接点の矛盾は、放っておけばいい。突き詰めてどうする?といった立場だ。それぞれの存在の色気に惹きつけられ、弾かれて、宇宙は進んでいるのだ。
話をスピリチュアル・ヒーリングへと戻そう。
まずは、前述ハリー・エドワーズさんの「霊的治療の解明」から抜粋する。
「霊的知性と同調できる能力を備えた人間の心が、ある訴えの想念を放射することにより、治療霊はこの訴えを読み取り、患者の身体の不調和箇所を癒す修正的性質を持った力を操作することができる」
つまり治療家というのは、霊と患者の間を取り持つ存在でしかなく、実際に治療をするのは霊だということだ。そして霊とコンタクトを取れる治療家には、霊と同調できる能力が必要とされている。言うは易しな感じだ。
「儀式や儀礼や見栄えのする技法といったものは人々を信じさせます。またそれらを行う人は心理的な効果をあげ、かつ治療しようとする意図も真面目であるかもしれません。しかしこのような振る舞いは何の役にも立たないものなのです。こうした見かけだけの行為は、治療理論を学ぶ上で何の価値もありません。それはまともな努力の妨げになるだけです」

(3ページ目につづく)


OLYMPUS DIGITAL CAMERA


医学以外のヒーリングでは、儀式や儀礼、道具などが重んじられるものもあるが、霊的治療では、それはどうでもいいことだと一蹴している。そしてここで出てくる「治療理論」とう科学的な響きの言葉がひっかかる。この本の中で続いて語られることは、治療方法、治療公式、治療能力の開発、教会・医学との関係、各疾患への対応、などで、それらが科学的な文献を読むような冷静さで述べられている。本書の中ではイエスを治療家として捉えていて、彼の奇跡などについても言及している。
ざっとその治療の流れをまとめてみると、次のようになる。
治療者は瞑想などを通して心を落ち着かせ自らを高めて治療霊・患者と同調するのを待つ。同調ができたら、患者の悪い部分に手を置く。以上。
たったこれだけである。実にシンプルだが、トランスせずに平静な精神状態で治療霊や患者と同調するというのは、簡単ではないと想像できる。治療現場ではいたってシンプルなのだが、それを使うには、天性と努力が必要だ。
治療霊との同調にしても、一方的に憑依されるのとは違い、対等なパートナーシップのようなものであるらしい。なので、治療能力の開発は、憑依の危険性もあり、独学よりもしっかりとした指導者のいるグループで学ぶことが望ましい。
そして最も大切なのが、無償の愛で患者に接することができるかどうか。ハリー・エドワーズさんを例にあげると、彼は一切の報酬を求めずに、治療所は患者からの寄付だけで運営されていた。寄付はもちろん任意なので、払わなくてもよいのだった。
まあ、特異な能力はやはり欲の張った凡人には与えられないということだ。
霊の存在を認めること。それらを治療霊として招き肉体の不調を治してもらうこと。治療家は治療霊と親和し同調することで患者との仲立ちになること。これらのことは、信じる信じないを問わずに、話としては新規なものではなく、むしろ古臭いほどに知られている。実際イエスの時代からは確実に聖書上に奇跡として残り続けてきた話であるし、その前のブッダやそれ以前のエジプト時代にも存在していた治療の定番だとも言え、むしろ科学的な医学の方がテイストとして新参だ。

(4ページ目につづく)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA



考えるに、こうした古参の霊的治療が綿々と受け継がれているのには、肉体だけでなく、人間の精神に深く関わりがあるからこそではないか。
「霊的治療の背後には、人類の霊化という偉大な動機が潜んでいるのです」
ハリー・エドワーズかこう記しているように、霊的療法は肉体の治療を通して、人間に霊界の存在を気付かせることにあるそうだ。目に見えない高次の霊界への気づき、またそれによる学び、聖性へ志向によって、肉体だけでなく、魂をも浄化し上昇させていくことを、本当の目的としている。
それによって何かがもたらされるのか?それは簡単にいえば、戦争のない平和で満たされた世界だ。
いつまでたっても地球上の各地で繰り返される争いに、誰だって正直うんざりしているだろう。どうせ人間のレベルなんて争いに固定されているのだから、せめて自分だけはそれから離れてこの一生を笑顔で楽しもう、と利己的になる人もいるだろうし、いいや、少しでも前進させようと、争いの発端を消すことへと献身的に一生を捧げる人もいよう。そして巨大な無関心と無自覚の霧に生きる人もいる。
だが、人間が人間であることで背負っている何かというのは、もはや人間だけの力ではどうにもならない、というのも実感としてある。
「人々は霊からの治療を受け入れるためには、自分自身が幾分霊的なものでなくてはならないことに気づきます。この知識が広まり、教会、医学界両者の既得権益を守るための偏見が克服されるに従って、人類は全体として、今日の人生の目的を活気づける物質的基準のもつ価値の変更を迫られるでしょう。人間のものの見方を広げ、生き方を霊化し、戦争や貧困や貪欲やその他すべての卑しいことどもを追放するという偉大な目的を見ることができるようになりました」
霊的治療の究極の目的は、人類全体へのヒーリングであることを知ると、なんと壮大な絵巻だろうと感嘆さえする。人類がよくなるのなら、霊界の方々、是非さっさと一括で!と言いたくもなるが、この遅々たる時間にも大きな意味があるのだろう。霊界もさぞやじれったいことだろう。人間よ、まだ戦争をしているのか、と。いうまでもなく、戦争とは国家間、民族間にだけあるわけでなく、その種が日常の中に潜んでいる。平和活動は、個人の精神を安定させる個々の努力の中にこそある。
人間の霊的成長。深呼吸して世界と自分に優しく接し、ごきげんに暮らす。これだけのことを毎日繰り返せばいいのだとわかっている人は多いが、実践できる人は僅かだから、霊的成長とは、やはり難しいのだろう。
霊界さま、諦めずに、よろしくー。
(つづく)


※『藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」』は、新月の日に更新されます。
「#34」は2016年10月1日(土)アップ予定。



 


 






関連記事のまとめはこちら


http://www.neol.jp/beauty/

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください