直木賞・本屋大賞候補作を超えた、衝撃のミステリ
NeoL / 2018年11月17日 20時58分
ミステリの舞台は、ヒトラーが亡くなり、戦争が終結したばかりのベルリン。荒廃した街を米・英・仏・ソ連からなる連合軍が統治するも、この後の冷戦へと続く、米英仏 vs ソ連という連合軍同士の牽制はもう始まっている。そんな中で、17歳のヒロインが大きな渦に飲み込まれるようにして旅に出るーー。
深緑野分さんの最新作『ベルリンは晴れているか』の主題は、決して戦争ではない。あくまで一人の男の死をめぐるミステリだ。しかしヒロインの行く手を阻むあれやこれやは、やはり戦争の影に他ならないし、幼くして戦火の中を生きてきた彼女のキャラクターや生き方には当然、戦争の影響がある。
きちんとした考証に基づく設定が、物語という形を取ったからこそ、日本にいる読者にも迫ってくる。『戦場のコックたち』が第154回直木賞候補、第18回大藪春彦賞候補、2016年本屋大賞候補となった、深緑さんの筆力は健在だ。
また、途中にヒロインの過去が挿入されるのだが、これが思いのほか、いい。物語を寸断して読みにくくなることもなく、本筋で引っかかっていた謎にもそっと答えてくれる。
衝撃のラストまで一気読みしてしまって寝不足、ということだけが心配になる1冊。
『ベルリンは晴れているか』
深緑野分
筑摩書房
2052円
Amazon
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http://www.neol.jp/culture/
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