Interview with TAWINGS about 『TAWINGS』

NeoL / 2020年1月24日 17時0分

Interview with TAWINGS about 『TAWINGS』



Cony Plankton(vo, g)、eliy (ba) 、Yurika(dr)の3人から成るバンド、TAWINGS。2016年の結成から瞬く間に頭角を現し、Lemon TwignsやHindsら数々の海外アーティストらのサポートを務め、SXSWにも出演を果たしてきた彼女らが1stアルバム『TAWINGS』をリリースした。ガレージ、ポストパンク、ニューウェーヴなど様々な音楽背景を持ち、60年代テイストのリフを鳴らしたと思えば、80年代のサイケを感じさせるような、種々をミックスしながらも独特かつモダンな感性でまとめあげた本作について、また今後の活動について聞いた。




ーー年代もジャンルも横断しているアルバムですが、まずこの曲たちが生まれた背景である3人それぞれのバックグラウンドや音楽の志向を聞かせてください。


Cony「私は両親が聴いていたクラシックロックなどを耳にしながら育ちました。80年代も入るけど、特に70年代のロックですね。QUEENやLed Zeppelin、プログレが多かったです。母親がニューウェーブも好きで、B-52’sやナゴムレコードのものも聴いていたんですが、そのひねくれてる感じや独特の面白さに私も惹かれていって。高校に入ってから段々現行のものに近付きました。そこまでの過程で自分はUKの音楽が好きなんだなと自覚したので、ブリットポップから掘り下げて、現行のインディーなどを聴いて、タワレコでバイトするようになってからは、お店に入ってくる新譜をたくさん勉強していきました」


ーー現行のものというと例えば?


Cony「TAWINGSにも直接影響してるんですけど、Dum Dum GirlsやThe Horrors、Shoppingというイギリスのバンドなどです。旧譜ももちろん聴いてきていたんですが、現行だと特にガールズバンドに毎回ドキッとして影響を受けていると思います」


ーーそうなんですね。2000年代のガレージリバイバルのようなところにも影響受けているのかと思ったんですけど。


Cony「もちろんThe Strokesも好きですが、そのあたりでちゃんと聴いているのはThe Strokesくらいです。あ、The White Stripesも高校生の時にすごく好きでした」


ーーeliyさんとYurikaさんはどうですか?


Yurika「私は中高生くらいからちょっと上の世代で流行っていたメロコアを聴いていて。USの西海岸のバンドなど一通り聴いていました。そこからハードコア、次にオルタナに行って。大学でサークルに入ったら詳しい人たちがいっぱいいたので、そこから一気に聴くものが広がって今に繋がるものも聴くようになりました」


ーー具体的にはどういうものですか?


Yurika 「UKではその当時に流行っていたものを軽く聴いていて、ガレージ系だとスウェーデンのThe (International) Noise Conspiracy は高校時代にすごく好きで、大学入ってからは過去の音楽も一気に知って、その頃はにせんねんもんだいも先輩だったので、そういうインストでループしていく音楽にも触れて。日本のノイズっぽいバンドで山本精一さん周りも知ったり、ヒップホップも聴いて」


ーー全方位じゃないですか!


Yurika「そうなんです(笑)。全方位的に聴き始めちゃって、何が好きなのかと尋ねられた時に答えづらくなっちゃう」


eliy「田舎で育ったので情報源が少なかったんですけど、好きだったテレビ番組の影響から80年代のポップソングをよく聴いていて、音楽が好きになったかもしれません。その後にJUDY AND MARYに出会って、バンドというスタイルに興味を持っていったんです。彼らのルーツになっている音楽を掘り下げていたら、XTCやデヴィッド・ボウイ、T.REXなどがあって、そこから70~90年代のイギリスのバンドやブリットポップを聴き出しました。タワレコに入ってから先輩からニュー・ウェーブやネオアコをを教えてもらったり、現行の音楽もたくさん知って。同時に大学でヨーロッパ文学を勉強していたので、北欧やフランスの音楽も好きになりました。仕事ももう辞めちゃったんですが音楽系の仕事をしていたので、常に新しい音楽に触れられるような環境にいましたね」







ーーU.F.O CLUBにも頻繁に通われていたそうですね。あそこはガレージ、モッズの印象が強いんですが。


Cony「めちゃくちゃガレージですよね。“invisible”とかガレージ系の曲はやっぱりU.F.O CLUBとかの影響があると思います。そもそもは高校で一番仲良かった友達に、その辺りで活動しているザ・シャロウズや蛸地蔵というバンドをすすめられて一緒に観に行ったら衝撃的な格好よさだったんですよ。それでい通い詰めて、交友関係も少し広がってきたところで脱退しちゃったKanaeちゃんと出会って。Kanaeちゃんはその周辺のバンドでヴォーカルをやってたんですけど、スカウトというか一緒にバンドやろうよって誘ったんです」


ーーそういう環境もあって、バンド組もうと。


Cony「そうですね。絶対バンドを始めようと決めた夜があるんですが、U.F.O CLUBのライヴ中にKanaeちゃんと一緒にいて、たまたま話が盛り上がってKanaeちゃんと『今日やるっしょ! 作るっしょ!』ってそんな感じで始めたんです。最初Kanaeちゃんとeliyと、もう一人違う女の子と4人でスタジオ入って。私は学校の軽音楽部でパーカッションやってたからドラムをやって。オリジナルの曲を作ったり、Dum Dum Girlsのコピーとかをやって頑張って練習してました。初めてライヴした時は、友達の男の子がサポートでドラム叩いてくれたんですけど」


eliy「それがU.F.O CLUBでした」


ーー憧れの、ですね。


eliy「はい。お客さんが2人とかで、よくあるようなバンドの始まりだったんですけど……」


Conhy「2回目のライヴでPeach Kelli Popという好きなバンドが来日した時に一緒にやれることになって、その練習している最中にYurikaちゃんを紹介してもらったんです。女の子でバンドをやりたいという気持ちもあったし、Yurikaちゃんのドラムは独特の抜け感があってTAWINGSのサウンドにぴったりだったのでYurikaちゃんに入ってもらいました」


ーーYurikaさんはいつからドラムを始めたんですか?


Yurika「中高の軽音楽部です。そこではやい曲を叩けるようになって、大学入ってからはっぴぃえんどなどいろいろ演奏するようになりました。はっぴぃえんどは難しかったですけど、羅針盤というバンドは女性ドラマーの方でわりと淡々としたプレイだったりとかして、そういうのを聴いて段々今の自分の感じにはなったんだと思います」


ーーそうなんですね。それぞれTAWINGSでやっていく中で、自分のスタイルも変わっていったりしました?


Cony「はい。バンドを始めてからギターをちゃんと触るようになったんで、最初は自分が下手すぎて辛かったんですけど、ギターで作った方が自分の好きなテイストに不思議となったので頑張りました。鍵盤はできたんですがそれで曲を作るとなんだか展開がうまくいかなかったんです、今はまた違うかもしれないですけどね。3年ギターをやってもいまだにおしゃれなコードとかは押さえられないけど、自分が好きな、最初に頭の中にある『この音が出したい!』というものをギターで追っかけています。どこを押さえればその音が出るのかという研究の積み重ねで、段々自分が好きな音がわかってきて、曲を作るたびに勉強しています」


eliy「私もこのバンドでベースを始めたので、今はまだ模索中ですね。曲ごとに考えながらやっています」







ーー楽曲制作は、Conyさんが原型を作ってきてみんなで意見を言い合う感じですか?


Cony「そうですね。デモを最初に作ってきて練習をして、その中で『展開が変わる前はこんなフレーズを入れてみたいよね』みたいな話をしてブラッシュアップしていきます。ドラムやベースのパターンも変わっていくんですけど、そのままいけるねって曲もあったり、毎回やってみないとわからないんです」


――初のフルアルバムですが、曲順によっても印象が全く変わっていただろうなと思うくらい個性が強い楽曲が揃っています。それをこの流れにしたというのは、バンドのイメージを形作る上ですごく重要なポイントだと思うので、この曲順にした理由を聞きたいです。


Cony「まず“Statice”はアレンジをしている時点から絶対に一曲目にしたいと思っていたんです。元々はすごく長い大曲だったんですけど、1曲目にするために展開を変えずにサビを無くしてアレンジし直しました。アレンジする中でどうしていいかわからなくて思いつめてしまって、なんならレコーディングもやめようかなと思った時もあったんですけど、思い切ってサビを無くしたら1曲目に相応しくなって、やった!という瞬間がありました」


ーーそこからはわりと流れがイメージしやすくなった?


Cony「そうですね。1曲目が決まって、2曲目を“Invisible”にしようかと考えたんですけど、“POODLES”くらいガツンと変えちゃった方が流れが作りやすいなと。個人的にアルバムを聴く時には頭3曲目までで評価が決まっちゃうというか、1曲目からドカンときて欲しいタイプなんですよ。なので、1、2曲目でぶち上げてそこでポップなTAWINGSに引き込もうと、似たようなひねくれソングを連発しました。“水仙”はかなり雰囲気が違うので最後にしようと考えていたんですが、最後にすると沈んだまま終わっちゃう感じがしたので、真ん中に据えて。そうやって当てはめていって、ライヴでもラストを飾る曲である“Dad Cry”で締めると落ちつきました」







ーーまさにバンドを体現しているし、中毒性のあるアルバムですよね。これが1stとなってさらに前進していくわけですが、いまの音楽シーンでバンドをやるのはなかなか骨折れることでもあるように思うんです。メンバー間でそういう話はしますか。


Yurika「ちなみにどういう所でそう思われますか?」


ーーいまはヒップホップが大きな勢力を占めているし、楽器離れも進んでいる印象です。二極化が進む経済の影響で、楽器が買えないという人も多かったり、テクノロジーの進化で楽器の音をデジタルで作れたり、いろんな複合的な要素で楽器を扱う人も聴く人も減っている。海外でもポップスやヒップホップに比べてバンドが苦戦しているし、The Rolling Stonesが新譜を出しますというのは大きなニュースになるけれども、それは歴代のファンがいるからで若手でなかなかそうはいかない。個人的な印象かもしれないのですが、ニーズもトライする人も減っているように思います。


Cony「私は昔からバンドの曲ばかり聴いていて、音楽といえばバンドだし、やるんだったらバンドと思ってたんですけど、確かに仲間もあまりいなくて、始めるきっかけもなかったです。タワレコ入ったときにGrimesのDIYなLIVE動画とかを観て、自分で曲を作っちゃえば発表はできるんだと思って、それっぽい曲を自分で宅録で真似して作ってみたけど、やっぱりバンドがやりたくて。海外にDum Dum GirlsやVivien Girlsとか格好いい子たちがいたけど、日本ではそういうガールズバンドをあまり知らなかったから、じゃあ私たちが面白いバンドを作ろうというだけの理由で、周りの状況は気にしていなかった。世界の音楽事情をあまり気にせず始めたし、単純にバンドにずっと憧れを持ってるんです」



ーー実際にやり出してから感じることはありますか?


Cony「挑戦しているバンドはたくさんいますが、なかなか日の目を見ないということは感じます。ジャケットやアートワークといったブランディングで損をしててるバンドも多いかもしれません。私たちは自分が好きな海外のバンドからもヒントを得ながら目につくものを作っていて、戦略とまではいかないけど、アートワークやSNSからでも引き込まないといけないと考えていたので、それが功をそうした部分もあるんじゃないでしょうか」


eliy「うん、バンドの見せ方は最初からすごくこだわっていました」


Yurika「他のバンドの方からもそこはよく言われていて。考えてみたら、ヒップホップの人たちも見せ方がうまいですよね」


eliy「Suedeとかもそうですけど、好きだったバンドも、男性でもメイクしたり、ヴィジュアルも含めた音楽の見せ方をしていたので、自然に考えられたというのはあります。そういうものに影響を受けて自分たちも活動してきました」


Cony「考えるのが好きだし、楽しかった。音楽と見せ方は半分半分くらいの力の入れ方だと思います」


eliy「曲ができて、じゃあアートワークどうしようかってまた盛り上がる(笑)」


Cony 「SNSにも助けられてると思うんです。ストイックにそれに頼らないバンドもたくさんいると思うんですけど、私たちは今は絶対的に助けられていますね」


ーーSNSは拡散力がある一方、時に消費される速度も速くなるという問題もあると思うんですけどそこに関してはどうですか?


Cony「曲に自信があるし、もともとマニアックなものをやってるというところもあるので、そこで応援してくれているファンはしっかりわかって共鳴してくれているはずで、簡単に移ろわないんじゃないかなという淡い期待はあります」







ーー “ガールズ”バンドという呼び方に関しても聞かせてください。シーンにおける女性の割合が少ないからなどの理由があったとしても、ガールズが付くことで内容ではない部分に目が集まる可能性が高くなるのが個人的にフェアじゃないと思っていて。それに対してどう思うかということと、もう1点、Warpaintなどは、素晴らしいクリエイティヴを継続的に発表して、消費されない自分達を作ってる良いお手本みたいな人たちだと思うのですが、TAWINGSは将来的にどういう道を歩みたいと思っているかを知りたいです。


eliy「興味のきっかけとして言われることは多いんですけど、ちゃんと全体を見て評価してくださる人が多いので、自分たちではあまり気にしてないです」


Yurika「ガールズバンドだから不利だなって思ったこともないかもしれないです。今までの対バンも、音楽を聴いて選びましたという風に言ってくださる方が多くて」


Cony「うん、一番大事なのはやっぱりサウンドだとは思っていて、私たちの範囲内でかもしれませんが、その核の部分は周りに伝わっている気がします。女性アーティストということでいうと、周りにもLISACHRISやAAAMYYYちゃんとか素晴らしい人たちが増えてきているので、たくさん勇気をもらっているし、他にもそういう姿を見て始める人たちもいるだろうし、いい流れなんじゃないかなって思います。
そして将来的には、まさにWarpaintみたいに、もっというならBjörkやオノ・ヨーコさんみたいに、ずっと音楽で人生を歩みたいと思っています。その時代時代の面白いことを追い続けて、他にないものを作りたい。で、私がGrimesを観て勇気をもらったように、若い人達にもこれから追いかけてもらって、何か作るきっかけになれば一番いいですし、そういう風にずっと自分を持ちながら女性の歳をとることへの恐れみたいなものも活動の中で研究しながら越えていきたい。女性の年齢のリミットみたいなものを自分たちとしても超えたいし、いろんな女性への勇気にもなりたいです」


eliy「家庭をもちながら活動しているミュージシャンは多いので、そんな人たちを見ているとすごく自信につながります」


Yurika「最初から長くやれるようなバンドになったらいいねって言って始まってるから、誰かが出産したりするのもむしろ楽しみです」


Cony「乗り越えられると思います。強くなった自分で音楽に取り組むとまた全然違うことになるだろうし、格好いいですよね」


ーー最後に、あなたたちが影響を受けている海外アーティストの多くは自分たちの思想や主張なども曲や言葉にしていますが、そういうことも後々はしていきたいなそは思いますか。


Cony「女性に勇気を与えたいとかはあるんですけど、姿勢や態度で感じてもらいたいという気持ちがあるので、歌詞にしたりする予定は今の所はないです。政治に関しては、個人的にはまだ勉強が必要なので、勉強しながらどうやっていくか考えているところです。ただ海外の方に触れる機会が多いぶん、日本は政治について考えてなさすぎるとはっきり言われることがあるし、いまニュースを見ていてもおかしいと思うことがたくさんあるので、声を上げることは本当に必要なんだろうと感じてます」


eliy「Conyとは最近ちょうどそういう話をしていて、TAWINGSというよりは個人的に政治や社会のことをもっと考えていきたいです。年間ベストのCDにSolangeやJamila Woodsを選んだんですけど、いざレヴューを書くときにリリックを含めて改めて聴き直していたら、手が止まってしまって。そこに関してもっと理解してからじゃないとなって思ってしまったんです。だから少なくとも自分の中で常に考えは持っていたいなとは思います」


Cony 「日本はやっぱり政治のことについて若者がタッチしにくいというか、知ることが難しいじゃないですか。だから自分で掘り下げて行かないといけない。これから頑張ります!」







photography Yudai Kusano
text&edit Ryoko Kuwahara








TAWINGS「TAWINGS」
Now On Sale (AWDR/LR2)

01. Statice
02. POODLES
03. Invisible [Album Ver.]
04. UTM [Album Ver.]
05. Hamburg
06. 水仙
07. Listerine [Album Ver.]
08. Dad Cry [Album Ver.]













TAWINGS
Cony Plankton(vo, g)、eliy (ba)、Yurika(dr)。
2016年結成の3人組バンド。ガレージ、ポストパンク、ニューウェーブなど様々な要素を飲み込んだサウンドで、東京を拠点に活動。2017年5月に1stシングル「Listerine/Dad Cry」を7インチでリリース、その後2018年1月に2ndシングル「Invisible/UTM」をカセットでリリース。The Lemon Twigs、Hinds、Japanese Breakfastなど多くの海外アーティストのサポートを務め、2018年のSXSWに出演、初の海外公演を行った。2019年12月18日には1stアルバム「TAWINGS」をリリース。2020年02月14日、NYからCibo MattoのMIHO HATORIをゲストに迎え、リリースパーティー「Chocotto Love」をWWWにて開催。


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bandcamp|https://tawings.bandcamp.com
soundcloud|https://soundcloud.com/tawings
YouTube|http://bit.ly/2o23zvx

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