「はだしのゲン」閉架式問題から考える「図書館の自由」

NewsCafe / 2013年8月21日 15時0分

故中沢啓治さんの代表作で、広島での被爆体験を元にした漫画「はだしのゲン」が昨年12月から、島根県松江市立の小中学校の図書館で、利用者の子どもたちに閲覧制限をしていたことがわかりました。今月になってこの問題が報じられると、鳥取市の公共図書館でも、一昨年から閲覧制限になっていたことがわかりました。広島県の湯崎英彦知事は記者会見で「自由に読んでもらっていいと思う」などと述べて、閲覧制限に対して批判的な立場を取っています。

「はだしのゲン」は、第二次世界大戦下で広島に原爆が投下され、その被害にあった少年が主人公の漫画です。この漫画に対して、松江市教委は、すべての学校に対して、子どもが図書室等で自由に読むことができない「閉架」の措置をとるように口頭で要請したといいます。貸し出しはできませんが、校長の判断で閲覧ができる状態だといいます。

今回の騒動のきっかけは、「松江市の小中学校の図書室から『はだしのゲン』の撤去を求めることにして」といった陳情が出されたことから始まりました。2012年9月定例会で教育民生委員会に付託されましたが、継続審議となっていました。その後、12月の市議会で、審査の経緯と結果が報告されました。

この陳情は、個人名で出されています。それよりも前に、松江市教委へ直接的な抗議行動が行なわれています。この様子はニコニコ動画にもアップされています。抗議する側は、「内容が事実と違う」などの理由によって、撤去を求めていました。市教委は当初は「撤去しない」と言っていましたが、閉架措置にしたということは、「撤去はしていない」ながらも市教委は見解を変更したことになります。

私はこの動画がアップされたときにも見ていますが、このときは、行政側がどんな対応をするだろうか。直接抗議を何度もされた場合、行政職員が疲弊して、思考停止してしまわないかと心配ではありました。結果、問題を指摘されていない巻を含む全巻を閉架措置にしました。

指摘されたのは、「はだしのゲン」の主要な部分である被爆体験ではなく、日本軍が中国で行なった残虐行為の部分です。たしかに、漫画作品の一作品の詳細がすべて「事実」なのかどうかを評価することは難しい問題です。こうした問題があるとき、図書館としてあるべきは、批判的な図書も置くことです。そもそも、歴史的事実がすべて事実かどうかを争われれば、図書館に置くべき歴史関連書籍はなくなってしまうかもしれません。

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