受け継がれる暴力…東京農大ワンゲル部事件(前編)

NewsCafe / 2013年11月5日 15時0分

「NewsCafeユーザーによる犯罪コラム」第六回
東京農大ワンゲル部事件
「なぜ部活で死者が出るのか?」

・「体罰」「しごき」…なくならない悪夢

昨年12月末、大阪市立桜宮高校バスケットボール部キャプテンだった男子生徒が体罰を苦に自殺した事件は、年明け早々から各種メディアで大きく扱われた。その後の調査で各部活動顧問による体罰・暴言が横行していた実態も明らかになり、橋下徹大阪市長の意向で「同校体育科の2013年度入試中止」が打ち出されるなど、大きな混乱に繋がったことは記憶に新しい。
バスケ部顧問だった元教諭・小村基は傷害と暴行の罪に問われていたが、今年9月、大阪地方裁判所から懲役1年・執行猶予3年の判決を言い渡されている。
この事件に限らず、いわゆる"体罰"にまつわる事件は後を絶たない。なかでもスポーツ部活動中の、指導者による暴行事件は枚挙にいとまがないと言っていいほどだ。何度も繰り返される同じ過ち…かつて「しごき」という言葉が年の流行語になるほどの事件が起こった。

<悪しき"伝統"の末路>

1965年5月、東京農業大学ワンダーフォーゲル部に所属する生徒が、部の合宿後に死亡する事件が起こった。亡くなったのはその年度の新入生男子であり、彼にとっては合宿が初めての登山体験だった。
山梨県で行われたその合宿は、夜行列車で現地に向かい、夜も明けぬうちから雲取山山頂を目指すという過酷な内容だ。キャンプを張りながら3日をかけて登頂、下山する行程は、登山初心者には非常に厳しかったことだろう…下山後に意識不明となり、入院先の病院で亡くなった。
しかし、司法解剖によって明らかになった死因は、登山による疲弊などではなかったのである。背中には直径15cm程度のえぐれらた外傷、眉間から鼻にかけては大きな打撲傷、特に下半身の打撲傷はひどく、下腹部からは出血…明らかな"暴行の痕跡"だ。直接の死因は、肺炎・肺水腫の併発による呼吸困難だったが、これは全身打撲で内臓が圧迫されたための発病と診断された。また、被害生徒と同じ1年生のうちふたりが重体、25人がケガを負っていた。
当初、練馬署は生徒間での集団リンチの線で捜査を進め、まずは同部の上級生である主将・副将を逮捕する。しかし、1年生を含む合宿参加者全員に事情聴取を行ううち、この事件の根底が見えてくるのである。凄惨な集団暴行殺害事件の首謀者は、部を指導すべき立場の監督…上級生のひとりは「自分たちも1年のときは同じ訓練を受けた」と話したという。

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