震災遺構 国の支援策の不十分さ

NewsCafe / 2013年11月20日 15時0分

また、宮城県気仙沼市のJR鹿折唐桑駅付近まで打ち上がっていた大型漁船「第十八共徳丸」はこの発表までに解体されました。 市長は保存の意向を示していましたが、漁船の所有者が解体を決めました。事態が進行している中での発表は、少なくとも「かなりスピード感のある発表」とはいえません。むしろ遅くなったと言えるでしょう。

また、国の支援とはいっても、最も重要な要素である「維持管理費」は、今回の支援策には含めないとした点は大きい。震災遺構の重要性を認識しながらも、なぜ、維持管理費は対象としないのでしょうか。この点について、根本復興大臣は会見で次のように述べています。

「まず、遺構を活かした過去の同様の施設の保存については、自治体負担や寄付によるものがほとんどであって、今回の措置は異例のものであるということを御理解いただきたい。仮に国が維持管理費を負担するとなれば、実質的に国有の施設と同等の取扱いをするということになる。今回の支援は復興まちづくりを支援する復興交付金を活用して行うもので、津波の惨禍を語り継いで今後のまちづくりに活かしていく地域の財産として、市町村が責任を持って維持管理に当たってほしい。それから、一般に維持管理費というのは管理主体が負担するものでありますから、費用負担と管理主体が異なるとなると責任があいまいとなって、長期的・安定的な管理に支障が生ずることも懸念される。ということで、維持管理費については国が支援をしないという判断をした」

震災遺構の重要性を認識しながらも、費用負担は原則的に自治体負担という。ただでさえ、財政事情が厳しい被災地が独自で費用負担するとなれば、それだけで住民の合意形成に影響が出てしまうでしょう。これでは、実質的に、国は支援しないと言っているのとほぼ同じではないでしょうか。

東北地方のブロック紙・河北新報は「維持費除外に被災自治体戸惑い 震災遺構保存、国が支援策」(11月16日付)という見出しで記事では、「国が支援対象とするのは各自治体で一カ所だけ。維持管理費への支援はない。被災自治体は、保存の初期費用支援は歓迎する一方で、肝心の維持管理費への懸念は消えず、落胆は大きい」と記していました。

ただ、保存に向けた初期費用を国が支援することで、震災遺構について考えるチャンスが出来たことは事実です。その一方で、これまで解体された、あるいは解体が決まった建物等があったことで、相当の損失が出たことは間違いないでしょう。

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