インドと日本を結ぶ意外な友情
ニューズウィーク日本版 / 2014年4月18日 12時12分
インドの財務相、外相、国防相を歴任したシンは、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と日本の安倍首相がいずれも、中国が「昨年11月に韓国の防空識別圏と約3000平方キロ重なる日本海上空に新たな防空識別圏を一方的に宣言したこと」に危機感を募らせていると指摘。これを受けて日韓両国は、中国南方においてインドと連携し、防衛・安全保障を強化する(原子力エネルギーに関する協力も含む)動きに出たと論じている。
日本の小野寺五典防衛相は1月、インドを訪問し、4日間にわたり防衛当局者と協議を行った。「日本とインドの戦略的およびグローバルなパートナーシップを強化する」ための2国間安保協定の詳細を詰めることが目的だった。これには海賊対策や海洋安保、テロ対策などで協力を深化させる合同演習や軍事交流も含まれる。
ウッドロー・ウィルソン国際研究センター(ワシントン)の上級研究員マイケル・クーゲルマンは、印日関係はアジアにおける最も良好なパートナーシップの1つだとしている。「両国はアジアにおける中国の影響力増大に懸念を募らせるなか、この数年で特に親密さを増した」と彼は言う。「中国に関する懸念が、おそらく緊密さの一番の理由だろう」
景気浮揚も日本が救済?
モディはインドの景気対策に重点を置かなければならないが、ここでも日本が救いの手を差し伸べられる可能性がある。
アジア最大の民主主義国家であるインドと日本の2国間貿易は拡大の機が熟している。11〜12年の2国間貿易の額はわずか184億ドルだった。対して印中貿易(13年)は655億ドル、日中貿易は3119億ドルにも上る。また中国に拠点を置く日本企業は2万社以上に達する一方、インドに進出している企業は1000社余りにすぎない。
だからこそ印日貿易には大きな潜在力がある。クーゲルマンによれば、両国関係の改善は「強い経済的側面」に支えられており、「来るべきモディ政権もそこに期待している」。
だがモディが選挙で勝利したとしても、彼は12年に圧勝で再選された安倍よりも大きな難題に直面する可能性が高い。
安倍率いる自由民主党は現在、衆参両院で過半数を占めているが、モディ率いるBJPは、選挙で第1党になっても議会で過半数を獲得できる可能性は薄い。そのため連立政権を組まざるを得ず、モディが自由に政策を実行できる余地は狭まるかもしれない。
それでもロイター通信のコラムニストであるアンディ・ムカジーのみるところ、モディは安倍からの支援に期待してもよさそうだ。
「日本の企業や銀行は投資先を探しているが、高齢化の進んだ日本社会にはその受け皿がない」と、ムカジーは言う。「ならばインドに投資すればいい。インドの人口構成は若いし、何よりもインフラ投資を必要としているのだから」
[2014.4. 1号掲載]
パラシュ・ゴシュ
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