1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

ユニクロの「カタカナロゴ」が「ガラパゴス化」を救う? - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代

ニューズウィーク日本版 / 2014年5月15日 13時24分

 私は、以前にキヤノンの経営幹部の方に「カメラは日本製が最高という評価があるのだから、もっと日本企業というイメージを押し出したらどうか?」と申し上げたことがあります。その頃は北米市場で同社はデジカメのイメージ・キャラクターにはマリア・シャラポワを起用していたのですが、それも当時の日本でのキャンペーン同様に渡辺謙さんでいいじゃないかと思ったものです。

 そういう意味では、今回の佐藤可士和さんデザインによるカタカナの「ユニクロ」というのは画期的だと思うのです。



 背景には、日本の「カタカナ」がデザイン的に「クール」だというイメージを持たれているということもあると思います。伝説的なSF映画『マトリックス』(1999年)のタイトルバックには、「カタカナもどき」の意匠が使われていましたし、今週末にアメリカで公開になる「最新版」の『ゴジラ』のタイトル(予告編段階)には、英語表記の裏にカタカナが重ね合わされています。

 アメリカでは、特に日本語を学習していない人でも、一定の割合で「カタカナ」のデザイン的な特徴を理解した上で、それが日本語の文字であることを知っています。更に日本のカルチャーに興味のある人の場合は、そこにある種の好感を持っているのです。

 今回のアメリカにおけるユニクロの「カタカナロゴ使用」には、こうした時代背景が前提になっているというのは間違いないでしょう。

 ですが、そうであっても、この「カタカナロゴ使用」というのは、それとは別に大きな意味を持つように思います。それは、国際社会において「日本の企業である」ということを堂々と名乗るということです。

 このことの意味は大変に重いと思います。それは、世界中で「ニッポン、ニッポン」と叫んで独善的に胸を張るという意味ではないのです。それは、世界各国で「日本企業」だということを名乗りつつ、各国の消費者に受け入れられ、各国の社会に貢献するという宣言に他なりません。法規制があればそれに従い、税制に則って税金を納め、宗教や文化上のタブーがあればそれを尊重する、そうした「社会的存在」として、逃げも隠れもしないということです。

 その上で、「日本企業」であることを堂々と名乗って行く企業は、日本のカルチャーの中で、明らかに世界で受け入れられるものはどんどん広めてゆき、その代わりに世界の常識から外れることは慎むという姿勢からブレない行動パターンを自然と取るようになっていくと思います。

 結果的に、そうした企業が増えることで日本経済全体もガラパゴス化を回避する事ができるのではないでしょうか? 現在、行きがかり上、海外市場で「無国籍」なブランドやマーケティングを展開している企業も、そろそろ再考の時期が来たと思います。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください