「自信なき大国」中国の未来
ニューズウィーク日本版 / 2014年6月4日 12時16分
──1972年の日中国交正常化以降、日本にはしばらく「戦争責任があるから、とにかく日本は中国には謝罪しなければならない」という雰囲気が強くありました。ただ、中国は当時とは大きく変わった。われわれが中国と向き合う姿勢も当然変わるべきです。
日本が中国に謝罪したことは誤りではありません。ただ、中国政府は国民に日本政府が謝っていることをまったく伝えてこなかった。彼らは教科書やメディアを完全にコントロールして、「日本はこれまで中国にまったく謝罪してこなかった」と嘘をついてきました。毛沢東も田中角栄首相が会談で謝罪したとき、「あなたたちのお陰で共産党は内戦に勝利することができた。謝る必要はない」と語っていた。しかし、中国の国民はこれまでまったく毛沢東のこういった言葉を知りませんでした。
この60年以上、日本は平和国家としてこれまでほかの国と戦争してきませんでした。逆に共産党の中国は戦争ばかりしてきた。インドと戦いベトナムと戦い、韓国・アメリカと戦争したこともあるし、ソ連とも戦った。なぜ、60年以上平和を守って来た日本が反省しなければならないのか。逆にずっと戦争を続けてきた中国はなぜ反省しないのか。毎年軍事費が10%以上増えている中国が、なぜ5年間で5%も伸びない日本を軍国主義呼ばわりするのか。とても不公平です。
──日本は戦争を恐れるべきでないかもしれない。ただ、同時に戦争の怖さも意識すべきでは?
日本は平和主義の民主国家です。日米安保条約もある。日本が主導的に戦争を始めることはないでしょう。ただ戦争を避けるということと、中国や共産党に対して縮こまることは違う。自らの軍事力を否定するのも間違いです。一方、中国は何の圧力もない中、軍事費を増やし続けてきた。その結果、日本やアジアの国が脅威を感じている。戦争を始めるのは日本ではなく中国です。日本はアメリカや周囲の国と協力して、中国に向き合うべきです。日本が強大になって初めて、共産党は日本を脅威に感じ、戦争を起こしたくないと考える。
──あえて聞きますが、あなたは日本と中国の戦争、あるいはアメリカと中国の戦争をあおることで共産党政権を倒そうとしているのでは?
私は中国と日本、中国とアメリカの戦争で共産党が崩壊することを望んではいません。ただ私は共産党崩壊の可能性はあると考えます。その原因の1つが外国との戦争です。清朝は改革や憲政の導入を拒否したうえで、外国と戦争を起こし、最後は辛亥革命で倒されました。現在の共産党は清朝の歩んだ道を繰り返す可能性があります。政治は腐敗し、改革を拒み、文明社会に加わることを拒否する──こういう状況では、外部との戦争が中国を変える可能性があります。ただこれは私の希望ではなく、客観的な分析です。
この記事に関連するニュース
-
「愛国者による統治」進める習近平政権、狙い通りの幕引き 香港民主派45人量刑
産経ニュース / 2024年11月19日 21時41分
-
習近平は「総書記」と「国家主席」どちらが正しいのか?...中国政治システムの「本音と建前」
ニューズウィーク日本版 / 2024年11月19日 16時40分
-
日本は「華夷(かい)秩序」を重んじる中国にどう向き合うか? 答える人 拓殖大学顧問・渡辺利夫
財界オンライン / 2024年11月7日 18時0分
-
「習近平の共産党」を守るためなら手段を選ばない…"西側諸国"で次々と明らかになった"中国スパイ"の実態
プレジデントオンライン / 2024年10月29日 17時15分
-
「聡明な植民者」と「横暴な独裁者」のどちらがましか?
ニューズウィーク日本版 / 2024年10月29日 11時15分
ランキング
-
1紛争地の人道支援で死者281人 過去最悪、ガザ被害中心
共同通信 / 2024年11月23日 7時40分
-
2中国、持論を曲げ対日ビザ免除再開 景気低迷やトランプ氏再登板が影響か 日本側は驚き
産経ニュース / 2024年11月22日 19時44分
-
3「イスラエル首相に逮捕状」で分かれる各国の反応 米国は反発も、トランプ氏の対応に注目
産経ニュース / 2024年11月22日 20時59分
-
4ロシア派遣の北朝鮮兵、「間もなく」ウクライナ侵攻に参戦 米国防長官
AFPBB News / 2024年11月23日 11時32分
-
5共産主義時代の政治犯刑務所 忌まわしい記憶を「遺産」に ルーマニア
AFPBB News / 2024年11月22日 19時51分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください