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「デフレ脱却」で賃金は下がり、景気は悪化する - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2014年7月16日 16時2分

 アジアとの国際競争も激しくなり、中国の実質賃金(単位労働コスト)に日本の賃金が引き寄せられる現象が続いている。このため1990年代後半から名目賃金は1割以上も下がったが、デフレで実質賃金はそれほど下がらなかった。しかし「デフレ脱却」によって、実質賃金が大きく下がり始めたのだ。

 実質賃金は労働需給で決まり、労働需要は成長率で決まる。建設・外食以外の労働需要が伸びないのは、日本経済が供給力の天井を打った(潜在成長率がゼロになった)ためであり、追加緩和をしても改善できない。日銀にできることはもうないのだ。必要なのは生産性を高めて(ゼロに近づいた)潜在成長率を引き上げることであり、それは2000年代とまったく変わらない。

 当然のことだが、デフレは不況の結果であって原因ではないので、結果を変えても原因は変わらなかった。輸入インフレで景気は悪化するが、原油価格が落ち着いてきたので、2%のインフレ目標は不可能だろう。それは黒田総裁には悪いニュースかもしれないが、日本経済にはいいニュースなのだ。

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