「デフレ脱却」で賃金は下がり、景気は悪化する - 池田信夫 エコノMIX異論正論
ニューズウィーク日本版 / 2014年7月16日 16時2分
アジアとの国際競争も激しくなり、中国の実質賃金(単位労働コスト)に日本の賃金が引き寄せられる現象が続いている。このため1990年代後半から名目賃金は1割以上も下がったが、デフレで実質賃金はそれほど下がらなかった。しかし「デフレ脱却」によって、実質賃金が大きく下がり始めたのだ。
実質賃金は労働需給で決まり、労働需要は成長率で決まる。建設・外食以外の労働需要が伸びないのは、日本経済が供給力の天井を打った(潜在成長率がゼロになった)ためであり、追加緩和をしても改善できない。日銀にできることはもうないのだ。必要なのは生産性を高めて(ゼロに近づいた)潜在成長率を引き上げることであり、それは2000年代とまったく変わらない。
当然のことだが、デフレは不況の結果であって原因ではないので、結果を変えても原因は変わらなかった。輸入インフレで景気は悪化するが、原油価格が落ち着いてきたので、2%のインフレ目標は不可能だろう。それは黒田総裁には悪いニュースかもしれないが、日本経済にはいいニュースなのだ。
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
日銀の政策変更でも円安は継続
株価にも影響する米国の利下げはいつ?Finasee / 2024年4月18日 7時0分
-
【日経CNBC・投資家アンケート】個人投資家の43.4%が「日本経済はデフレを脱却した」と回答、「脱却していない」は26.3%
PR TIMES / 2024年4月11日 18時15分
-
植田日銀総裁の朝日新聞インタビューは追加利上げに向けたキックオフ(愛宕伸康)
トウシル / 2024年4月10日 8時0分
-
平均賃上げ率「5%超え」だが…「賃金と物価の好循環」実現のための“重要な要素”とは?【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月9日 14時20分
-
スロベニアの2024年の実質GDP成長率予測を2.4%に下方修正(スロベニア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月2日 0時5分
ランキング
-
1プーチン氏が停戦交渉拒めば、トランプ氏はウクライナ支援強化も 元米国務省特別代表ネグリア氏
産経ニュース / 2024年4月23日 17時43分
-
2貨物列車が炎上しながら走行 カナダ・オンタリオ州
日テレNEWS NNN / 2024年4月23日 13時6分
-
3米政権、中絶求める女性の個人情報保護を強化する規則発令
ロイター / 2024年4月23日 9時53分
-
4テレビ塔が倒壊…ロシア軍のミサイル攻撃か ウクライナ東部ハルキウ
日テレNEWS NNN / 2024年4月23日 15時56分
-
5台湾で再び地震 マグニチュード6超が2回発生 ホテルやビルが傾く
日テレNEWS NNN / 2024年4月23日 19時37分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください