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円安で供給不足の「悪循環」がやってくる - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2014年8月27日 17時0分

  円安→輸出増→企業収益増→賃金上昇→消費増→景気回復

 という「好循環」が起こるはずだったが、いま起こっているのは

  ドル高→輸入増→企業コスト圧迫→賃金低下→消費減→景気悪化

 という「悪循環」なのだ。今までは景気の回復期には円が安くなって輸出が回復し、そこから他の部門に波及するというパターンが多かったが、円安で貿易赤字が拡大したのは(私を含む)多くの経済学者にも意外だった。製造業のグローバル化は、予想以上に進んでいたわけだ。

 供給力の低下で、日本の潜在成長率はほぼゼロになった。ここで公共事業や追加緩和で需要を追加しても(建設現場で起こっているように)人手不足や資材不足が起こるだけだ。いま必要なのは、雇用を流動化して労働供給を増やす労働市場改革や、原発再稼動で企業のエネルギーコストを引き下げ、供給力を高める政策だ。日銀の「異次元緩和」も、もうやめるべきだ。これ以上の円安は有害だからである。

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