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世界に広がった「性奴隷」の誤解をいかに解くか - 池田信夫 エコノMIX異論正論

ニューズウィーク日本版 / 2014年10月15日 20時6分

 つまりこの事件は、日本軍が慰安婦の強制連行を禁じていたことを示す証拠なのだ。被害者にとっては「軍服を着た人に連行された」とみえただろうが、それは軍司令部の命令ではなく、単なる軍紀違反だった。しかしNYタイムズが「安倍首相は歴史修正主義者だ」というイメージを植えつけたため、彼は「広義の強制はあった」と発言を軌道修正し、発言を封じられてしまった。

 このように「性奴隷」という言葉で問題をごちゃごちゃに語る海外メディアが、誤解を拡散させた元凶である。性奴隷という言葉は、今でも人身売買の意味で使われるが、その意味での性奴隷は戦時中はどこの国でもあり、今でもある。人身売買で刑事責任を問われるのは、売買を行なった業者であって政府ではない。

 しかし「慰安婦はいたが強制連行はなかった」とか「政府は民間の人身売買に責任はない」といっても、海外の大衆は聞く耳をもたない。彼らの脳内には性奴隷という強烈なイメージが焼きついているので、論理では説得できないのだ。アメリカ国務省も強制連行がなかったことは知っているが、「強制の有無を争っても日本に勝ち目はない」という。

 このままでは「日本人は性犯罪者なのに罪を認めない」という国際的な評価が歴史に残ってしまう。韓国政府や国連は、永遠に日本政府を糾弾し続けるだろう。政府が何もできないとしても、少なくとも朝日新聞は、過去の慰安婦報道を全面的に撤回し、世界のメディアに謝罪広告を出して誤解を払拭する責任がある。

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