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ジョージアと呼ばれたいグルジアの気まぐれ

ニューズウィーク日本版 / 2014年10月31日 12時43分

 外国は変わり身が早い。グルジアもNATO、EU、ロシアの間をふらふらしている気味がある。また「グルジア」にする、いや本来の「サカルトベロ」がいい、と言い出すかもしれない。

 いまグルジアに院政を敷いている実業家、イワニシビリ前首相はサーカシビリ前大統領の反ロ路線を批判して権力を握った人物だ。16年に行われる総選挙では、国名をグルジアに戻してプーチンが旗を振る「ユーラシア連合」に入ろうと主張する政党が出てこないとも限らない。

 面白い話を紹介しよう。08年8月、CNNはグルジアとロシアの軍事衝突を興奮交じりに伝えていた。「たった今、ロシア軍が『ジョージア』に侵入しました。兵火は......に迫っています」。するとCNN本社(ジョージア州アトランタ)の電話がけたたましく鳴った。地元ジョージア州の老婦人が息せき切って言う。「ロシア兵がジョージアに入ってきたって?! で、どこまで攻めてきているの?」

 国や人の名は、むやみに変えるものではない。ひょっとして、日本の民主主義(官僚主義)は、いい防波堤になっているのかもしれない。

[2014.11. 4号掲載]
河東哲夫(元外交官・外交アナリスト)


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