聖戦を煽る「イスラム国」指導者が空爆で負傷?
ニューズウィーク日本版 / 2015年1月21日 15時36分
日本人2人を拘束し、身代金2億ドルが支払われなければ殺害するという予告ビデオをインターネットで公開したイスラム教スンニ派テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)。その指導者とされるアブ・バクル・アル・バグダディが、イラク軍の空爆によって負傷したと、アラビア語メディアのアル・ハヤトが伝えている。
イラクのハイダル・アバディ首相によると、バグダディはバグダッドの北西約400キロ、シリア国境に近い街アルカイムに潜伏していた。アバディは、ISISはもはやバグダッドを脅かす存在ではないものの、今後も中東地域で数千人規模の兵士を集め続ければ、現状のイラク軍では対処しきれないと語っている。
一方、クルド系メディアのルダウは同じ20日、イラク北部クルド人自治区の首都アルビルから南西約40キロの街グウェルで、バグダディがアメリカ主導の「有志連合」の空爆で死亡したと伝えた。
バグダディの負傷が伝えられたのは今週が初めてではない。昨年11月にも、イラク西部のアンバル州で空爆を受けてけがをしたという複数の報道があった。しかしその後ISISが出した音声録音の声明で、バグダディ自身が次のようにけがや死亡説を否定している。
「すべてのムスリムよ、安じるな。イスラム国は最高の状態にある」と、その声明でバグダディは語っている。「すべてのイスラム国の戦士たちよ、戦士を集め続けよ。いたるところでジハード(聖戦)の火柱を噴き上げるのだ」
バグダディの姿が最後に確認されたのは昨年7月、イラク北部の都市モスルのモスクでビデオに撮影されたときだ。ここでもバグダディは、イスラム教徒に対してISISとその「ジハード」に参加するよう呼び掛けている。
クキル・ボラ
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