「脳を食べるアメーバ」北上中?
ニューズウィーク日本版 / 2015年7月10日 20時2分
アメリカ中西部ミネソタ州の湖で泳いでいた10代の少年が今週、「原発性アメーバ性脳髄膜炎(PAM)」による危篤状態に陥り、その後死亡した。PAMは、いわゆる「脳を食べるアメーバ」によって引き起こされる珍しい病気だ。
7〜8月という夏の時期には、この感染症のニュースを耳にするのは珍しいことではない。先週もカリフォルニア州の女性がPAMで死亡した。ただし全米の死者は最高でも年間8人程度。
だが、今回のように北部で発症した例はまれだ。ミズーリ州より北で報告された症例は、わずか2件だけだ。
「ネグレリア・フォーレリ」という名前の問題のアメーバは水温が高い場所に生息するため、通常は南部に見られる。感染が起こるのは年間で最も気温が高い7〜8月。湖などで泳いだときに水を鼻の奥まで吸い込むとそこから脳に侵入し、すさまじい破壊活動を開始する。
水道水からPAMに感染した例もある。最初の症例は、2013年7月のルイジアナ州だった。
ミネソタ州保健省によると、危篤状態にあった少年、ハンター・ボウテインくん(14歳)は6月30日、同州ポープ郡にあるミネワスカ湖で泳いでいたという。
アトランタにある疾病対策センター(CDC)の医療疫学者、ジェニファー・コープによれば、脳を食べるアメーバの生息地域は暖かい地方に限られてきたが、近年気温が上昇している一部地域にも広がっているという。とはいえ、まだ症例数が増加しているというほどではない。
ネグレリア・フォーレリに感染することは滅多にないが、感染すれば、その致死率は極めて高い。1972年以降、PAMと診断された患者は134人だが、そのなかで生き延びたのはたった3人だけ。2013年にPAMに感染したアーカンソー州の12歳の少女は完治している。
ダグラス・メイン
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