新冷戦下の米ロ首脳会談、プーチンとオバマの論点
ニューズウィーク日本版 / 2015年9月28日 16時0分
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とアメリカのバラク・オバマ大統領は今日、ニューヨークで2年ぶりの首脳会談に臨む。課題は山積だ。とくに、2014年3月にロシアがウクライナのクリミアを併合、報復として欧米側がロシアに経済制裁を課して以来、米ロ関係は冷戦後最悪のレベルまで冷え込んでいる。今回の首脳会談は、プーチンとオバマがひざ詰めで歩み寄るための稀有な機会となるのだが......。
シリア
ロシアにとっての最優先課題は、自国の軍事基地を置き中東戦略上も重要なシリアだ。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は再三に渡りアメリカのジョン・ケリー国務長官やシリアの近隣諸国に対し、ロシアの対ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)作戦に加わるよう説得してきた。ロシアはシリア内の自国基地に補給し、シリアのバシャル・アサド大統領に追加の軍事技術を提供している。
プーチンも、シリアのアサド政権も含めた反IS連合を呼びかけると思われるが、オバマのほうは、ロシアがシリアで軍事介入を拡大している意図を追及するはずだ。
大統領報道官のジョシュ・アーネストによれば、オバマは会談の間一環して、アサドを支援するロシアの戦いは所詮「負け戦」で、直ちに手を引くべきだと語るだろう、という。
ウクライナ
一方、オバマにとっての最優先課題はウクライナだ。親ロ派と親欧米派が戦うウクライナで、ロシアは親ロ派を軍事的にテコ入れしてきた。しかし今は、2月に成立した停戦合意に基づいて、今年末までにウクライナから兵を退かなければならないことになっている。
しかしウクライナ政府によれば、停戦合意にも関わらずロシア政府はいまだに10人以上のウクライナ人捕虜を違法に拘束している。しかもロシアへの編入を望むドネツク、ルガンスク両人民共和国はウクライナ政府の意思に反してますます独立色を強めている。
EU難民危機
中東やアフリカからの難民流入で最大の影響を受けているのはEU(欧州連合)だが、ドイツのアンゲラ・メルケル首相はロシアやアメリカにも問題解決のための支援を求めている
だがプーチンは今月、難民危機は、アメリカの中東介入政策に盲目的に従ってきたヨーロッパが自ら災難だと切り捨てた。「危機は回避できたはずだ」と、プーチンは言った。
欧州は今、難民の負担をめぐり豊かな北東部と貧しい南西部の諸国間に分裂しつつあり、国際的な支援は待ったなしだ。
ダミアン・シャルコフ
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