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韓国国会、朴大統領の弾劾を賛成78%で可決 大統領権限停止へ

ニューズウィーク日本版 / 2016年12月9日 21時21分

<韓国の朴槿惠大統領とその友人による一連の国政介入疑惑に関連し、韓国国会で朴大統領に対する弾劾決議投票が行われ、賛成234対反対56の圧倒的な賛成多数で弾劾が可決された。朴槿惠大統領は事実上、国家元首としての権限を失った>

 チャンネルAなどの韓国メディアによると、韓国国会に野党側が提出した弾劾決議案は、大統領の友人チェ・スンシルによる国政介入に関連した賄賂罪などのほか、2014年のセウォル号沈没事故の際に朴大統領の行方が一時分からなくなった「セウォル号7時間」問題での大統領職務放棄なども弾劾理由として挙げられた。

 弾劾決議は午後3時の趣旨説明から始まり、3時23分から国会議員299名が参加して投票が行われた。弾劾成立を大きく左右する要素として注目された朴大統領が所属する与党セヌリ党議員からも62名が賛成を投票したもようだ。

 弾劾決議が可決された後、午後5時から大統領府では朴槿惠大統領が事実上、最後の国務委員懇談会を開き、「弾劾裁判と特別検察捜査に粛々と対応していきたい」と明らかにした。これは自ら退陣することはない、という意思表明と受けとめられている。

 そして午後7時03分、大統領府総務秘書官が、国会議長による弾劾訴追議決書を国会事務局から渡され、この時点で朴槿惠大統領の大統領権限行使が停止された。事実上、国家元首としての地位を失ったことになる。韓国憲法による大統領の権限は、
国軍統帥権、条約締結批准権、赦免・減刑・復権権限、法律拒否権、国民投票付議権、憲法改正案発議・公布権、法律の改正公布権、予算案提出権、外交使節受付権、行政立法権、公務員任免権、憲法機関の任命権などである。これらの多くが、ファン・ギョアン首相に引き継がれることになる。

 とはいえ、朴大統領が大統領であることに変わりはないので、大統領府で生活を続け、警護も従来通り継続される。給料も同じように支給されるという。2004年に同じように弾劾されたノ・ムヒョン前大統領の場合、読書や記者団との山登りなどをして過ごした。またファン・ギョアン首相から代行された職務についての報告も受けることになりそうだ。




国家元首不在の韓国、今後の展開は?

 ファン・ギョアン首相が大統領職を代行するとはいえ、正式な大統領ではないことから、さまざまな国政の停滞が心配されている。なかでも外交面については影響が大きいと見られている。事実、今月に開催が予定されていた日中韓首脳会談は、無期延期される見通しだ。また北朝鮮のミサイルへの対抗策として配備準備を進めているTHAAD(戦域高高度迎撃ミサイルシステム)導入などめぐり、本来ならばアメリカのトランプ新大統領との首脳会談も早期に行わなければならないが、それも見通しがつかない状況だ。

 朴大統領が自ら早期退陣する意向がないことから、今後は憲法裁判所で弾劾が審議されるが、最短で2カ月、最長で6カ月審議がかかる模様だ。また現在の憲法裁判官は親朴派が多数のため、弾劾が認められる可能性は低いと予想されている。朴大統領は、与党セヌリ党が提案した"任期を短縮したうえで4月退陣"という形で、大統領の任期を形式上全うして終えることもあり得る。いずれにしても韓国政界の混乱と国民の政治不信は長期化しそうだ。

ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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