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シリアでISISに反撃する初のLGBT外国人部隊

ニューズウィーク日本版 / 2017年7月31日 18時16分

<ISIS支配下で迫害の標的にされてきたLGBTコミュニティーが、外国人兵士を中心にISISと戦う初めてのLGBT部隊をシリアで創設した>

ISIS(自称イスラム国)による迫害に苦しんできたLGBT(同性愛者などの性的少数者)やその支持者たちが、シリアの戦場で反撃に出た。ISISの支配下で暮らすLGBTの人々はこれまで、建物の屋上から突き落とされたり、投石で処刑されたり残酷な仕打ちを受けてきた。ISISが犯行声明を出した米フロリダ州オーランドのLGBTが集まるナイトクラブで発生した銃乱射事件でも、多数の若者が犠牲になった。

【参考記事】LGBTはイスラム過激派の新たな標的か

シリア北部でクルド人と共にISISと戦う外国人義勇兵たちは7月24日、対ISIS戦線で初のLGBT部隊の創設を宣言した。その名も、「同性愛者の反乱・解放軍」(TQILA、テキーラ)だ。

TQILAは「国際自由軍」(IFB)の傘下に置ある。IFBは、ISISと戦うためにシリア北部に渡航した外国人戦闘員の寄せ集め部隊で、シリアの少数民族クルド人武装組織「人民防衛隊」(YPG)と協力関係にある。IFBは、シリア北部ラッカの奪還作戦が最終局面に入る2カ月前の、今年4月に設立されたばかりだ。

すでにISISとの戦いに参戦中

TQILAはツイッターに、TQILAのメンバーは「ジェンダーの壁を打ち破り、女性革命や広義のジェンダー革命の推進を目指す」という声明を発表。

全体の人数やLGBTの人数は明らかにされておらず、TQILAのヘバル・ロジラト報道官は安全上の理由で公表しない、と本誌に語った。

「仲間の多くはLGBTQ*コミュニティー出身だ」と、彼は言う。「今まさにラッカで戦っている」

TQILA は声明で、LGBT部隊創設の動機は「世界中のファシストや過激主義者がLGBTを『病的』『異常』『不自然』などと侮辱し、数えきれないほど多くの仲間が殺される恐ろしい光景を目の当たりにしたから」だとしている。

【参考記事】世界に広がるLGBT迫害戦争

「ゲイの男たちがダーイシュ(ISISのアラビア名)によって建物の屋上から突き落とされ、投石で殺される光景を見過ごせなかった」

声明はこう締めくくる。「撃ち返せ!同性愛者がファシストを殺す!」。そのロゴマークには、ピンクの地の上に黒いAK47自動小銃が描かれている。

【参考記事】【写真特集】多様で自由なLGBTの世界へ

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