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河野外相に対する中国の期待と失望

ニューズウィーク日本版 / 2017年8月9日 8時0分

8月3日に河野太郎氏が外相に就くと、中国では河野洋平氏の息子への期待感が膨らんだ。しかしマニラで開催されたASEAN外相拡大会議での河野外相の発言を受け、王毅外相は失望したと直言。詳細を考察する。

内閣改造、中国で「支持率」一時上昇

8月3日に安倍内閣の内閣改造陣営が発表されると、中国は一斉に河野外相に注目。中国共産党の報道局である中央テレビ局CCTVは盛んに新外相に対する期待を報道した。

たとえば「日本新外相:日韓慰安婦問題合意を実行することは非常に重要 進展を期待する」という番組では、3日夜に河野外相が行なった記者会見で慰安婦問題解決のために述べた以下の言葉を使っている。

――慰安婦問題に関する我が国の立場は,総理が戦後70年の談話で仰られたこと、それと、両国政府が確認をした日韓合意にあるわけでございます。それ以上、私が付け加えることはございません。日韓の合意が着実に実行されるということが望ましいと思っております。

この回答自身は客観的に見れば問題はないが、番組では「慰安婦問題が重要で、望ましい方向での進展を期待する」といったニュアンスになっており、さもなければ日韓関係は冬の時代に入るだろうとしている。

一方、中国共産党機関紙「人民日報」の電子版「人民網」、8月2日の段階での情報により「河野太郎が日本の新外相になる 父親は知華派外交家」という見出しの報道をしている。「知華派」というのは「知日派」という言葉にもあるように「知中派」を指すが、ここでは「親中派」を示唆している。この報道では、河野洋平氏が内閣官房長官だった1993年に「河野談話」を発表し、慰安婦問題に関して謝罪したことを高く評価している。

河野談話には問題あり

しかしこの河野談話をまとめるにあたって、日本政府が行った調査過程に問題があり、河野談話の表現に関しても韓国との事前調整があったことが判明して、客観性に欠けるという批判が出ている。そもそも河野談話が依拠している慰安婦問題は、朝日新聞が文筆家、吉田清治氏の証言に基づいたものが多く、吉田清治氏自身は1995年になってから「自分の証言は主張を織り交ぜた創作である」と、自ら小説性(創作性)を認めた。史実に対する創作性は、すなわち虚偽性でもある。適宜、売れるように「小説として粉飾した」ということになる。

その長男は、自分の父親が虚偽の証言を続けてきたことに耐えかねて、「慰安婦像をクレーン車で撤去したい」と訴えたそうだ。平成28年9月号の『新潮45』に、長男を取材した大高未貴氏が書いている。また『父の謝罪碑を撤去します』という本も産経新聞出版から出版しており、慰安婦問題および河野談話には多くの虚偽が含まれていることは周知のことだ。

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