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東グータの虐殺は止まるか──安保理がシリア停戦合意採択

ニューズウィーク日本版 / 2018年2月26日 20時30分

<反政府勢力の拠点であるために包囲され、シリア政府軍の空爆を受けてきた東グータの生き地獄に安保理は終止符を打てるか>

内戦が続くシリアで、アサド政権(そして同政権を支援するロシアやイラン)は新たな「敵」、すなわち国際世論に直面している。

国連安保理常任理事国は2月24日、シリア全域での30日間の停戦を求める決議を採択。首都ダマスカス近郊の東グータを拠点とする反政府勢力と、東グータを包囲し空爆を浴びせるシリア政府軍の戦闘が激化しており、街に閉じ込められた一般市民の人道危機が叫ばれてきた。

一方、クルド人主体の反政府勢力が支配する東部アフリンにはトルコ軍が侵攻。最近になってシリア政府軍がクルド人の反政府勢力に加勢するという異例の展開で、共にトルコを追い出そうとしている。

国連安保理の常任理事国であるロシアは当初、東グータでの暴力に終止符を打つことを目指した停戦案に反対していた。一方アメリカは、アサド政権やロシアが反政府勢力への爆撃を続けるために故意に決議案の投票を遅らせていると非難してきたが、24日の国連安保理ではロシアが拒否権を行使せず、ようやく停戦決議が成った。

アサド政権が市民を逃がす用意?

停戦の発効時期は決まらなかったが、ここへきて、東グータで民間人避難の動きも出てきた。レバノンのシリア政府寄りの報道機関アルマヤディーン者は23日、現地からの情報として、アサド政権は最近作った避難ルートを使って12歳以下の子供と60歳以上の男性、そしてすべての女性を東グータから避難させる計画だと書いた。

またシリアの軍事専門家ワエル・フサイニは22日、避難路や避難時の注意について書かれたシリア軍のものと見られるリーフレットが配られたとツイッターに投稿した。

Importanttoday #SyAAF dropped leaflets on #EastGhouta announcing that the #SAA established a humanitarian crossing points for the civilians, giving them the chance of getting out from the clashes zone Here's the map with translated instructions along with the original leaflet pic.twitter.com/VrzXmWy4q0— Wael Al Hussaini (@WaelAlHussaini) 2018年2月22日

(重要。シリア政府軍は本日、市民のために人道的通過ポイントを設けるとともに、武力衝突地帯からの脱出のチャンスを与えることを知らせる東グータに関するリーフレットを空から配布した)


だが、市民の安全が保証されたわけではない。リーフレットには、通過ポイントでの注意事項が以下のように書かれている。「武装して近づかないこと。通過ポイントの視界内に入ったら立ち止まり、頭の上にリーフレットを掲げ、もう一方の手は頭の上に置くか、子供と手をつなぐこと。シリア政府軍の兵士の合図を待ち、向きを変えて背中を見せること。出口に顔を向け、ゆっくりと進むこと」


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トム・オコナー

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