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トランプ、中国の知的財産侵害に制裁関税「貿易戦争は楽勝だ」

ニューズウィーク日本版 / 2018年3月23日 19時0分

<鉄鋼、アルミの高関税で中国を困らせられなかったトランプが今度は中国の急所を突き、いよいよ貿易戦争の幕開けか>

ドナルド・トランプ米大統領が、中国製品に最大600億ドル規模の制裁関税を課すと決定した。中国は猛反発し、アメリカが制裁に踏み切れば報復措置に出ると誓った。

トランプは3月22日、アメリカは中国に巨額の知的財産を盗まれ、過剰な対中貿易赤字を抱えているとして、中国製品に制裁関税をかけると発表した。

中国外務省はトランプ政権の決定を非難し、自国の権益を守るために「あらゆる必要な措置を取る」と表明。中国商務省は翌23日、アメリカに対抗関税を準備していると発表した。報復措置の対象として、アメリカ産のワインや果物、豚肉などが候補に挙がっている。

トランプは中国の習近平国家主席と良好な関係を築く一方、中国の通商政策は「攻撃的だ」と米大統領選中から一貫して批判してきた。米通商代表部(USTR)は昨年8月、トランプの指示で中国の知財侵害の実態調査を開始。中国の通商政策がアメリカに経済的な損失をもたらしている、との報告を基に、トランプ政権は数カ月にわたり対中制裁措置を検討してきた。

トランプ政権は、中国に進出する米企業に対して技術移転を強要するのは、知的財産の侵害にあたると非難。そのせいでアメリカは数百億ドル相当の損害を被っている、と主張した。中国はそうした批判には「無責任だ」と全面否定した。

トランプは3月初めにも、鉄鋼25%、アルミ10%の高い関税を課すと発表したばかり。標的は中国で、3月23日から適用になる。

鉄鋼とアルミニウムの関税に中国がさほど強く反発しなかったのは、好調な内需に比べるとアメリカへの輸出規模が問題にならないほど小さいからだ。

だが、知的財産への制裁関税は、中国のハイテク産業や中国企業による対米投資が中心になる見通しで、最大600億ドル規模の報復関税を課す。15日以内に対象品目リストを作成し、民間からの意見を聞いてから正式決定する。

これまで米中両政府の政府関係者は、全面的な貿易戦争に発展しないよう自制を呼び掛けてきた。だがトランプは言う。貿易戦争は「良いことだし、楽勝だ」。

(翻訳:河原里香)





クリスティナ・マザ

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