オーストラリアは忘れまい、しかし許そう
ニューズウィーク日本版 / 2018年8月16日 16時40分
「1942年は重要な分岐点だった」と、オーストラリア国立大学のウェスリーは言う。「私たちはアジアにおける勢力バランスの変化に気付き、アジアの一員として、アジアの安全保障に積極的に関わるようになった」
だからオーストラリアは朝鮮戦争にいち早く参戦した。ベトナム戦争でもアメリカを支援し、マレーシア独立の混乱に際しては部隊を送り込んだ。
もちろん、日本に対するネガティブな感情がすべて消えたわけではない。日本の南太平洋における捕鯨活動には断固として反対だし、ソーシャルメディアには過激な反捕鯨活動を支持する書き込みが目立つ。「クジラの惨殺を戦争中の日本軍の残虐行為になぞらえる人もいる」と、ニューサウスウェールズ大学のピーター・スタンリー教授は言う。「しかしそれは過熱した世論のガス抜きであって、地政学的な決定や行動には影響しない」
戦没者の遺族の多くは既に、すべてを許している。「しばらく前に妻を連れてダーウィンを訪れた」と、冒頭の戦没者ジャックの弟ロンは言う。「道中で、オーストラリア大陸を自転車で旅しているシンガポール人と日本人の学生に会った。感じのいい若者たちで、会った瞬間から好きになった。どんな国にも善と悪が入り乱れている。私たちは善が勝つことを祈るしかない」
こうした前向きな気持ちが大事だ。それが未来を明るくする。オーストラリアにとっても、日本にとっても。
デボラ・ホジソン(シドニー)
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