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女子学生殺害事件を移民排斥に利用するトランプ「だから壁が必要なのだ」

ニューズウィーク日本版 / 2018年8月24日 15時0分

<白人女性が殺された事件を受けて、不法移民は危険だとトランプは喧伝するが、データによればそれこそ「フェイクニュース」だ>

米アイオワ州の20歳の女子学生モリー・ティベッツが、行方不明になって34日後の今週、遺体で見つかったが、トランプが彼女の死を不法移民のせいにしていることに、批判が高まっている。

捜査当局は、メキシコからの不法移民とされるクリスティアン・リベラ(24)をティベッツ殺害の容疑者として拘束した。ドナルド・トランプ米大統領とホワイトハウスはすぐさまこれに飛びついた。ティベッツが帰らぬ人になったのは、移民関連法の不備と不十分な国境管理によるもので、「だからこそ国境の壁が必要なのだ」と、トランプは言った。

これに対して、ティベッツの親族の一人が事件の政治利用をやめるよう求めるなど批判が高まっている。

トランプは8月23日のツイッターの動画で、「すばらしい女子学生モリー・ティベッツは、永遠に家族と引き離された。メキシコから不法入国した人物が彼女を殺害した」と断じた。「アメリカには国境の壁が必要で、移民法、国境法を変えなければならない。これは共和党がやらなければならない。民主党はやらないからだ。今回の事件は多くの事件の一例に過ぎない」

ホワイトハウスは同時に、「『アメリカにいるべきではない人物が犯した犯罪によって永遠に(子供と)引き離された』親たち」を紹介するビデオを公開。「引き離された seperated」という言葉を繰り返すのは、国境で不法移民の親子を引き離して全米から批判を浴びたことに対する当てつけだ。ホワイトハウスは「(引き離されたのは)彼らだけではない」と言いたいようだ。

「私はそこまで偏狭じゃない」

強硬な移民政策を正当化するために、トランプ政権がティベッツの死を利用することを批判した1人が、ティベッツの「またいとこ」のサマンサ・ルーカスだ。8月21日夜のツイートが一気に拡散されている。「わたしはモリーの親族だが、モリーが殺されたからといって悪いのは移民だと考えるほど了見は狭くない」

ルーカスは、「モリーの死を政治的に利用するのはやめてもらいたい」と訴える。

トランプは不法移民の犯罪について頻繁に取り上げる。大統領候補だった2015年6月には、「メキシコ移民はドラッグの売人、犯罪者で、レイピストだ」と発言したこともある。しかし複数の研究によれば、移民の増加と犯罪率の間に関連性は認められない。

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