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債務膨張と利回りの上昇で、究極の選択を迫られる米予算

ニューズウィーク日本版 / 2018年11月12日 15時30分

<歳出拡大と大型減税を自画自賛するトランプ政権だが、債務超過で将来へのツケは嵩む一方だ>

米連邦政府の債務がこのまま膨張し続ければ、利払いを賄うために米議会は医療か教育への歳出を減らさざるを得なくなると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは報じた。

2017会計年度における連邦債務の利払いは2630億ドルで、米政府予算の6.6%、GDP(国内総生産)の1.4%に達している。米議会予算局(CBO)は、利払いは2028年までに9150億ドル、対GDP比で約3.1%に跳ね上がると予想する。

しかし歳出は増える一方。米議会は今後2年で歳出上限を3000億ドル増やす、という予算関連法を2月に成立させたし、トランプ政権も昨年、大型減税の実施に踏み切った。米議会はじきに、メディケイド(低所得者向けの医療保険制度)や国防費やその他支出を削って、国債の利払いに回すしかなくなる。

トランプの1.5兆ドルの大型減税と議会が決めた3000億ドルの歳出上限上積みが、財政赤字の膨張に拍車をかけていると、アナリストは言う。だが今回はそれと同時に、米国債の利回り上昇が追い打ちをかけている。

このままいけば、米政府の利払いは2020年までにメディケイドの予算、2023年までに国防費を抜き、2025年までには国防費を除くすべての任意の政府事業を合わせた予算総額を超えてしまう。

ほかの連邦予算にシワ寄せ

しかも今後5年で米国債残高の約70%は満期を迎え、米政府はより高い金利で借り換える必要に迫られる。

「米連邦予算の利払いが最も急速に膨らんで、子供関係の歳出などほかの重要な予算を圧迫しようとしている。どんな支出にも躊躇することになるだろう」と、超党派の米非営利組織「責任ある連邦予算委員会」(CRFB)のマヤ・マクギニアス会長はウォール・ストリート・ジャーナルに語った。

アメリカの政府債務は対GDP比で急増しており、今後10年でさらに増えると予測されている。2018年末でGDP比78%という比率でさえ第2次大戦以降で最も高い水準だが、CBOによれば、それが2028年までに96.2%へと膨れ上がる見通しだ。

米財務省は10月、2018年の政府の借入が前年度の2倍強の1兆3400億ドルに達する見通しだと発表した。2010年以来の高水準だ。

同省によれば、その原因を、2018会計年度は国債の利払い負担が前年比620億ドル(20%)増加したため、としている。

(翻訳:河原里香)

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ベンジャミン・フィアナウ

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