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知っておくべき年金改革:現役時代の給与が少ないほど年金の目減りも大きい!?

ニューズウィーク日本版 / 2019年1月11日 18時0分

<2019年は、5年に1度の公的年金の財政検証が行われる年である。年金部会ではパート労働者や高齢者の就労と関係した論点を扱ってきたが、基礎年金の大幅低下という難しい論点が残っている。基礎年金の大幅低下は、多くの受給者に逆進的な削減をもたらす重要課題である>

2019年は公的年金の将来見通し作成(財政検証)の年であり、早ければ2020年に制度改正が行われる。現在は社会保障審議会の年金部会が議論を重ねており、主な論点は、財政検証に用いる前提と、財政検証と同時に行われるオプション試算(仮に改正した場合の影響の推計)の内容である。前者については、同部会の専門委員会で議論が進められ、具体的な設定方法がまとまりつつある。一方、後者については、論点は提示されているものの、具体的な姿がまだ見えない。

前回(2014年6月)の財政検証の前後には、2013年に成立した社会保障制度改革プログラム法に掲げられた4つの検討項目を考慮して、年金制度の見直しが検討された。しかし、最終的な制度改正には年金部会で検討された項目の一部しか盛り込まれず、いくつかの課題が残された。加えて、2016年改正後の閣議決定などで、年金制度の追加的な見直しの検討が明示されている。

例えば、企業への影響が大きい短時間労働者(パート労働者)への厚生年金の適用拡大については、正社員501人以上の企業での実施を決定した2012年の改正法の附則に、2019年9月末までに更なる拡大を検討することが盛り込まれた。その後に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」(2016年6月)や「骨太の方針2017」(2017年6月)でも、検討や措置を講じることが盛り込まれている。2018年4月に招集された第4次年金部会では労働分野の専門家が複数追加され、同年9月に開催された同部会では「別途の検討の場」の設置などが議論されたが、それ以降は具体的な動きが見えない。前述した検討期限までに企業規模等の具体的な条件が提示されるのかや、オプション試算に具体的な条件が反映されるのかなどが、今後の注目点となる。

また、高齢者の就労促進と年金の関係については、2018年2月に閣議決定された高齢社会対策大綱に、70歳以降の受給開始を選択可能にするなどの柔軟な受給方法や在職老齢年金のあり方



の検討が盛り込まれた。これらは同年10月と11月に開催された年金部会で議論されたが、賛否両論があり、具体的な結論には至らなかった。今後は、これらの見直しの採否や具体的な内容(70歳以降の繰下げ受給の割増率や在職老齢年金の具体的な見直し内容)が、注目される。

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