「武力行使も辞さない」と北朝鮮がアメリカを脅しても、第3回米朝首脳会談は実現可能と文在寅

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月27日 16時25分

<問題は、金正恩はすでに韓国ではなく、ロシアと中国に頼りはじめているということだ>

北朝鮮がアメリカに新たな警告を発した。核協議の手詰まりを打開するため3回目の米朝首脳会談の開催が取り沙汰されるなか、非核化を求めて引き続き北朝鮮を非難するアメリカに抗議する内容だ。

国営通信社・朝鮮中央通信(KCNA)は6月26日、北朝鮮の最高指導者・金正恩(キム・ジョンウン)とドナルド・トランプ米大統領が前例のないハイレベルの接触を行なっている最中に、「これまで以上にあからさまに、わが国に敵対するアメリカの異常な動き」に抗議する記事を掲載した。「異常な動き」とは、米国務省の2019年版「人身取引報告書」と2018年版「国際信教の自由報告書」で北朝鮮の人権侵害が批判されたことと、北朝鮮の核開発の脅威に備える国家非常事態宣言が延長されたことだ。

KCNAはまた、マイク・ポンペオ米国務長官が6月23日の記者会見で「北朝鮮経済のざっと80%は制裁下にある」と述べたことを「無謀な発言」と非難。「問題はアメリカの目標がこれを100%に引き上げることかどうかだ」として、もしそうなら、その背後には「制裁と圧力でわれわれを跪かせようとするアメリカの見果てぬ夢」がある、と断じた。

「わが国はアメリカの制裁に屈服するような国ではないし、アメリカがいつでも気の向いたときに攻撃できる国でもない。わが国の主権と存続の権利を踏みにじろうとする者がいたら、われわれは躊躇なく自衛のために武力を行使する」

互いを褒めたたえる仲

北朝鮮の国営メディアが激烈な論説を載せるのは今に始まったことではない。だがトランプと金正恩が口撃の矛を収め、2018年6月に史上初の米朝首脳会談を行ってからは、仮借ない対米批判は鳴りを潜めていた。首脳会談を皮切りに、建前上とはいえ、制裁の緩和や体制保障と引き換えに、北朝鮮の非核化を目指す一連の交渉が始まったからだ。

だがこの1年間、交渉には見るべき進展がない。今年2月末にベトナムの首都ハノイで開催された2回目の首脳会談は物別れに終わり、協議頓挫の責任を米朝が互いになすり付け合うようになった。

米朝両政府は交渉で一切譲歩しないと宣言しているが、トランプと金正恩はそれをよそに、互いを褒めたたえる親書を交わすなど、相変わらず蜜月ぶりをアピールしている。6月14日に74歳の誕生日を迎えたトランプは、その10日後にホワイトハウスで行なった記者会見で、金正恩から「とても個人的で、とても温かく、とても感じの良い」誕生日祝いの手紙をもらったと明かした。一方KCNAの6月23日の報道によると、金もトランプから「素晴らしい内容」の親書を受け取ったという。

KCNAによると、金は「トランプ大統領の政治的判断能力と並外れた勇気を認め、興味深い内容を真摯に検討する」と述べたという。



3回目の米朝首脳会談の仲介役を買って出ている韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、金が送った親書について「トランプ大統領が明かしていないBBC非常に興味深い部分」があると、意味深長な発言をしている。

韓国の聯合通信によれば、文大統領は6月26日、欧米の複数のメディアの質問に対し、「第3回の首脳会談に関し、両サイドが対話を進めている」と書面で回答した。文は、ハノイ会談は「合意には至らなかったとしても、失敗とは見ていない」と述べ、この会談以降、「双方の立場の相互理解を前提として、舞台裏での協議」が行われてきたと説明したという。

文はこれまでに金と前例のない3回にわたる南北首脳会談を行い、アメリカと共に北朝鮮の非核化、とりわけ主要な核施設である寧辺(ニョンピョン)の施設の完全な解体を求めてきた。一方で文は、南北の経済・政治協力の拡大と、冷戦時代の1950年代に起きた朝鮮戦争を公式に終結させる「終戦宣言」の調印で主導権を発揮したいという野望も抱いている。

しかし金が最近、会談した相手は文ではなく、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平(シー・チンピン)国家主席だ。中ロの首脳は、トランプ同様、東アジアの安定を望んでいるが、それぞれ別の問題で対米交渉に頭を悩ませており、脆弱な和平プロセスを壊さないよう、一層の努力が必要だと金に注文をつけた。


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トム・オコナー

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