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ヒースロー空港が「同性愛は死刑」のブルネイに静かな圧力

ニューズウィーク日本版 / 2019年7月8日 17時20分

<LGBTキャンペーンのポスターに登場するのは全員、LGBTの空港職員。イギリスを住みやすくしている多様性の価値観を世界に発信している>

イギリスのヒースロー国際空港はこのほど、性の多様性がテーマのポスターを、ロイヤルブルネイ航空のチェックインカウンター近くに掲示した。同性愛を刑事罰の対象とするブルネイに対する静かな抗議だ。今年4月、東南アジアのブルネイでは、同性間の性的関係に死刑を科すという新しい法律が制定され、国際的に大きな批判を集めた。

ポスターは、ヒースロー空港が以前から展開している「ウェルカム」キャンペーンの一環だ。ただし今回制作されたポスターに出てくるのはLGBT(性的少数者)の空港職員で、「ウェルカム」の文字は虹色だ。

ヒースロー空港のジョン・ホランドケイCEOは、ゲイ・スター・ニュースに対し、ロイヤルブルネイ航空のカウンター近くにポスターを掲示したのは「イギリスが大切にしている価値観を世界に訴える」ためだと述べた。

「世界各国からヒースローにやってくる旅行者は8000万人に上る。同性愛が違法とされていたり、時には死刑を科されるような国々から来る人々も多い。私たちは自らの価値観を世界に訴える必要がある」

ホランドケイは、ヒースロー空港であれば同性愛がいまだに違法とされる国々からの旅行者にもアピールすることができると述べた。

「こうしたキャンペーンができることをとても誇りに思う。他の国籍の人々と協力できるすばらしいチャンスだった。イギリスをこれほど住みやすい場所にしているリベラルな価値観を、世界と共有したい」

<参考記事>LGBTが多い住宅地の地価が高いのはなぜ?

外務省からも好意的な「問い合わせ」

ホランドケイはまた、イギリス政府からも支援があったことを明らかにした。

「外務省から、どこまでやるつもりか、という問い合わせが来た。だが、それは実はとても前向きな気持ちからの問い合わせだった」

6月28日、ニューヨークで行われるLGBTのイベント「ワールド・プライド」に参加する人々を運ぶヴァージンアトランティック航空の特別便がヒースロー空港を飛び立った。乗務員もすべてLGBTで、特別にドラアグ・クイーンのキャビンアテンダントもいた。

ロンドンでも7月上旬に同様のイベントが行われるのに合わせ、ヒースロー空港では虹色のカップケーキやピンバッジが配布されたり、合唱隊「ヒースロー・プライド」の歌が披露されたりもした。

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