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移民は経済にとって最高のカンフル剤?

ニューズウィーク日本版 / 2019年7月23日 15時48分

<「フォーチュン500」企業の約半分は、移民か移民の子どもによって創業されていた>

アメリカ経済に関する最近の調査から、大企業番付「フォーチュン500」にランクインする企業の45%が、移民もしくは移民2世によって創業されていることがわかった。これらの企業の2018年の売上高は6兆1000億ドルに上る。

ニューアメリカン経済研究基金が7月22日に公表したレポートは、移民家族とアメリカの経済成長とを関連づける最新の研究だ。移民支持を公言する同基金のデータによると、フォーチュン500企業のうち、外国出身者が創業した企業が101社あったほか、移民を親に持つ2世が立ち上げた企業が122社あったことが明らかになった。創業者が移民であるフォーチュン500企業の雇用者数は計1350万人。一社当たりの平均では、創業者が移民でないフォーチュン企業の雇用者数と比べて約11%多かった。

移民が創業して伝説になった企業のなかには、アップルやコストコなど、アメリカの誰もが知る企業がいくつかある。近年では、財務会計ソフトのインテュイットや半導体大手のブロードコムも知られている。

移民はリスクを取れる人間

ジョージア州、ペンシルベニア州、ワシントン州、ニューヨーク州にあるフォーチュン500企業の売り上げの50%以上は、移民もしくは移民2世が創業した企業によるもの。イリノイ州に限って言えば、同州のGDPの70%を移民が立ち上げたフォーチュン500企業が占めている。

一方、創業者が移民ではない、ウォルマートやエクソンモービル、総合ヘルスケア大手CVSヘルスなどの「アメリカ生まれ」の企業の売上は、合計7兆6000億ドルだった。

シティグループとオックスフォード大学が2018年に公表したレポートによると、アメリカの2011年以降のGDP成長のうち3分の2は「移民に直接起因する」という。移住にはリスクがつきものなので、もともと起業家精神を持った人々が移住に引き寄せられると考えており、移民が特許発明を考案したり、アカデミー賞やノーベル賞を受賞したりする確率は2倍以上だと指摘している。

このレポートの共著者で、オックスフォード大学で国際開発学が専門のイアン・ゴールディン教授は、「彼らのプレゼンスは通常、賃金や生産性の高さ、失業率の低さ、女性の労働参加率の高さと関連している」と述べている。



同レポートによると、アメリカの総人口に移民が占める割合はわずか14%であるにもかかわらず、移民が創業した企業は、フォーチュン500企業の約40%を占める(売上高では45%)。また移民が創業した企業は、2011年以降にアメリカで創業された企業のおよそ3分の1を占めているという。

移民のデメリットを指摘する声もある。ネットメディアのアクシオスが7月22日に掲載した記事では、ハーバード大学教授ジョージ・ボージャスらが、アメリカ生まれより移民のほうが、政府からの支援を受ける確率が高いことを明らかにしている。そして、移民は毎年少なくとも500億ドルに上る「財政の穴(=赤字)」を作り出しており、それがアメリカの納税者の肩にのしかかっていると述べている。

(翻訳:ガリレオ)


※7月30日号(7月23日発売)は、「ファクトチェック文在寅」特集。日本が大嫌い? 学生運動上がりの頭でっかち? 日本に強硬な韓国世論が頼り? 日本と対峙して韓国経済を窮地に追い込むリベラル派大統領の知られざる経歴と思考回路に迫ります。



ベンジャミン・フィアナウ

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