韓国で広がる東京五輪不参加を求める声、それを牽制する韓国政府

ニューズウィーク日本版 / 2019年8月22日 18時30分

<東京五輪をボイコットしようという声が韓国内で上がっている。政治とスポーツは分離すべきという主張も上がるが、ボイコット派は福島の放射能を問題視している......>

韓国文化体育観光部が2019年8月11日、東京五輪には参加すべきという見解を明らかにし、文在寅大統領も同年8月15日の光復節記念式で、平昌冬季五輪から東京夏季五輪、2022年の北京冬季五輪へと続くリレー開催は東アジアが友好と協力の土台を固める機会だとして、国内で広がりつつある東京五輪ボイコットを牽制する発言を行なった。

SNSで広がる東京五輪不参加を求める声

日本政府が韓国をホワイト国から除外する決定を受け、東京五輪をボイコットしようという声が韓国内で上がっている。

プロバスケットボールチームは日本との親善試合や日本で予定していたトレーニングを相次いで取り止めている。昨シーズン優勝した蔚山現代モービスは日本バスケットボールチーム「サンロッカーズ渋谷」と行う予定だった親善試合を取りやめ、トレーニング先を江原道の束草に変更した。

平昌冬季五輪で注目を浴びた女子カーリングチームも日本で開催された国際大会への出場を取りやめた。女子カーリング京畿道庁は国家代表に選ばれた後、初めての国際大会だった。カーリングはワールドツアーでランキングポイントを積み上げてグランドスラムの出場権を得るが、その機会も逸しかねない決定だ。

ある世論調査機関は、国民10人中7人が東京五輪ボイコットに賛成していると伝え、また、国会文化体育観光委員会の共に民主党幹事シン・ドングン議員も東京五輪のボイコットを積極的に検討しなければならないと主張する。

東京五輪への不参加を求める声がインターネットコミュニティやソーシャルメディアを中心に広がっており、青瓦台(大統領府)の国民請願掲示板にも「東京五輪ボイコット運動」を提案するコメントが投稿されている。

日本は放射能に汚染されているという風評

日本遠征や日本チームの招待を取りやめる事例が相次ぐなか、政治とスポーツは分離すべきという主張も上がるが、ボイコット派は福島の放射能を取り上げる。日本は放射能に汚染されているという風評を広げているのだ。

2011年3月に発生した福島原発の放射能漏れが報じられると、韓国民や韓国政府は過敏に反応した。同年4月14日、食品医薬品安全庁は、翌月1日以降に日本から輸入される食品を通関する際、日本政府が発行する証明書の提出を義務付けると発表したが、同庁が要求した証明書は、当時は商工会議所が担っており、日本政府機関が発行するスキームは存在しなかった。



韓国に輸入された食品は1週間から2週間かけて食品検査が行われた後、通関手続きが可能となる。規制を発表した時点で検査が行われている食品は影響ないが、検査前の食品は期日までに完了する見込みがなく、日本を出港して韓国に到着していない食品も入港と同時に返送するか廃棄する以外にないタイミングでの発表だった。

日本の政府機関と委任を受けた都道府県が証明書を発行する制度が確立するまで数か月間、日本食品の韓国向け輸出は全面的に停止した。

韓国から空輸した食材を選手団に提供する案

2017年には済州航空がターゲットにされている。同社は福島空港へのチャーター便を計画し、同空港や韓国外交部が公開する放射線測定値から問題ないと説明したが、福島空港に発着した機体は放射能に汚染されるという風評が広がった。不買を危惧した済州航空は、チャーター便の運航を断念した。

放射能を取り上げる声に文化体育観光部と韓国五輪委員会(KOC)は、五輪期間中に給食センターを運営し、韓国から空輸した食材で作った料理を選手団に提供する案を検討するが、食品の安全基準が韓国より厳しい日本が許可する食材は限られる。

スイーツブームで韓国企業が欧州産ココアパウダーを輸入したとき、日本で積み替えたパウダーが放射能検査で拒絶された一方、検査対象になっていない欧州から輸入されたパウダーは問題なく輸入できた。日本では積み替えを行なっただけで、パウダー自体は同じものだった。

世界柔道選手権大会は参加予定

いっぽう柔道選手たちは、東京で開かれる世界柔道選手権大会への参加を予定している。五輪出場権獲得の獲得に重要な大会だからだ。

五輪ボイコットはメダル獲得による報奨金や年金、兵役免除の特典を逃す結果に繋がるが、それ以上に4年に一度の大会を目標に練習を重ねてきた選手たちの努力が無駄になる。東京五輪の参加・不参加は、韓国五輪委員会が、韓国文化体育観光部と協議を経て決定する。



S. Korean civic groups oppose Tokyo Olympics over radioactivity concerns


佐々木和義

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