「世界最悪の雑草」がカリフォルニア州を侵略する

ニューズウィーク日本版 / 2019年8月29日 15時0分

<ロシア系とオーストラリア系の外来種を掛け合わせて生まれたハイブリッド種はサイズも繁殖スピードもモンスター級>

西部劇などでよく登場する、荒野をコロコロ転がる草。あのタンブルウィード(転がる草、回転草ともいう)が米カリフォルニア州の複数の地域で大繁殖している。それも、高さ2メートルまで巨大化することもある新種だ。科学者たちは、気候変動の影響で草が育ちやすい条件が揃っていることから、今後さらに増える可能性があると警告している。

<ひと目見ればわかるタンブルウィード>


カリフォルニアで初めてこの種が確認されたのは2002年。ロシアと中国が原産の種と、オーストラリアと南アフリカが原産の種が掛け合わさってできた新種だ。科学者たちによれば、オーストラリア・南アフリカ原産のタンブルウィードは現在アメリカの48の州で確認されており、「世界で最悪の雑草のひとつ」。新種は「両親」の2種よりもずっと成長が早く、高さ約2メートルにもなる。

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タンブルウィードは、夏の終わり頃に枯れた茎が根本で折れ、風に吹かれて転がって種を撒き散らす。これが街に押し寄せて交通事故の原因になったり、住宅に被害をもたらしたりして大きな問題になっている。わずかな水分さえあればどこにでも2メートルもの根を張るので抜くのも容易ではない。しかもタンブルウィードは外来種なので、農業や生態系にも悪影響を及ぼす。

2018年4月には、カリフォルニア州ビクタービルの街に大量のタンブルウィードの塊が押し寄せ、世界的なニュースになった。地元当局がネットに投稿した写真には、強風で民家の前に積み上がったタンブルウィードの山が写っていた。

<タンブルウィードに埋もれた住宅地>


「両親」よりも強く丈夫に育つ

新種のタンブルウィードが見つかった後、研究者たちはすぐに、この新種が速いペースで生息域を広げていることを発見した。その面積は過去20年で数倍に拡大し、今ではカリフォルニア州からアリゾナ州の広い範囲に分布が確認されている。

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チャップマン大学のシャナ・ウェルズとカリフォルニア大学リバーサイド校のノーマン・C・エルストランドは、新種のタンブルウィードがこれほど短期間でなぜここまで繁殖できたのかを検証。学術誌AoBプランツに発表した。



新種のタンブルウィードは「両親」から種類の違う2つの染色体セットを受け継いでいる。その場合、「子供」はより強く丈夫に育つ場合があると考えられる。ウェルズとエルストランドの研究では、ロシア・中国原産種とオーストラリア・南アフリカ原産種のどちらと比べても、新種ははるかに育ちが良かった。

ウェルズとエルストランドは、新種のタンブルウィードは今後数年で、これまで以上に生息域を広げていく可能性が高いと結論づけている。「厄介な侵略種になるかもしれない」

2人はまた、気候変動によって、新種のタンブルウィードが今後、これまで以上に速いペースで繁殖していく可能性もあると指摘する。新種のタンブルウィードが成長する季節は他の種よりも遅く、カリフォルニア州により雨が多い時期と重なる。「気候変動で夏の雨がさらに増えれば、新種の成長にとって有利に働く可能性が高い」とウェルズは指摘する。

(翻訳:森美歩)



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ハナ・オズボーン

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