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低成長、消費増税、少子化......それでも日本人は楽観していい

ニューズウィーク日本版 / 2019年10月2日 11時45分

<状況は決して真っ暗ではない。未来は不透明だが、日本は未来を先取りする国だからだ。変化の時代を乗り切り、損をしないために知っておきたいこととは? 本誌「消費増税からマネーを守る 経済超入門」特集より>

好むと好まざるとに関係なく、変化はやって来る。

必要のない消費増税のように、歓迎できない変化もあれば、キャッシュレス化の進展のように、いい面と悪い面の両面を併せ持つ変化もある。キャッシュレス化は買い物を便利にする半面、プライバシーに関する不安は拭えない。

米中貿易戦争のように、影響が読みにくい変化もある。世界を景気後退に引きずり込む可能性もあるが、日米同盟の強化につながったり、将来的に中国を好ましい方向に変える要因になったりするかもしれない。

未来は不透明だが、日本人は楽観していい。理由は2つある。

第1に、構造的な低成長に悩まされている国は、日本だけではなくなった。「Japanification(日本化)」という英単語を検索すると、何万件もヒットする。世界中で超低金利状態が加速していることからも明らかなように、多くの国で成長への期待がしぼんでいる。

第2に、日本はこれまで数十年にわたり、この状況を経験してきた。低成長時代への心理的対応が既にできていて、新たな対処法も見いだしている。

少子化の進行でも、世界が日本を追い掛けているようだ。いまヨーロッパには、日本より出生率の低い国が10カ国以上ある。男女平等と手厚い子育て支援で知られる北欧のフィンランドでも、合計特殊出生率は日本と大差ない。

バングラデシュやネパールなどの貧しい国も、人口の維持に必要な出生率を辛うじて保っているにすぎない。人口減少は世界的な問題になりつつある。

日本社会で高齢化が進んでいることは事実だが、人々が引退生活を送る年数が増えなければ高齢化は問題でない。日本銀行のエコノミスト、関根敏隆によれば、今の日本の高齢者は昔より生物学的に若くなっている。今日の70~74歳の平均的な歩く速度は、10年前の65~69歳と同程度だという研究もある。

現在、65歳以上の日本人の就業率は約25%。西欧ではこの割合が5%に満たない国もある。日本には80代でエベレスト登頂に成功した人やAV男優として活躍している人もいる。日本は高齢者が元気な国なのだ。

日本に深刻な経済的不均衡が存在することは否定できない。企業収益が過去最高に達しているのを尻目に、一般市民の賃金が停滞していることは、その最たる例だ。この状況で消費税率を引き上げれば、弊害のほうが大きい。そもそも、日本の国家財政が危機に直面しているという認識も正しくない。日本は世界最大の対外債権国だからだ。

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