1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

「10億ドルの鉄壁」が破られた、アメリカがハマスの奇襲成功から学ぶべきハイテクの欠陥

ニューズウィーク日本版 / 2023年12月11日 12時5分

アメリカとライバル関係にある国々は、米軍とほぼ肩を並べる水準の兵器を持っている上に、軍隊の人員規模という点ではアメリカを上回っている。

「テクノロジーは兵力を何倍にもできるが、テクノロジーさえあればいいというものでもない」と、ボイドは言う。「米国防総省はイスラエルの状況を注視している。これはアメリカ自身の弱点について考えるきっかけになっているはずだ」

「イスラエルで起きているようなことに、いつかアメリカも遭遇するかもしれない」と、ボーマンも言う。

「ロシアがウクライナに侵攻し、中国が台湾を脅かし、イランがイスラエルを脅かす一方で核兵器開発に一歩ずつ近づき、北朝鮮の脅威もあるなかで、アメリカは今、私がこれまで見たこともないような恐るべき安全保障環境に置かれている」

アメリカがイスラエルと類似の(全く同じ場合も多い)ハイテク防衛機器に依存していることは、アメリカとその同盟諸国の懸念の種だ。

ガザ境界のアイアンウォールや、ミサイル迎撃システムのアイアンドームなどイスラエルの防衛テクノロジーは、米オバマ政権期に結ばれた合意の下でアメリカと共同開発された。

今日、そうした技術や類似のシステムの多くはアメリカの国境警備でも使われている。

メキシコ国境で不法入国者などの摘発に大きな役割を果たしているドローンの多くはイスラエル製で、イスラエルもガザ境界で同じものを使っている。

小型監視用ドローン「スカイラーク」を飛ばす準備をする訓練中のイスラエル兵(2012年) URIEL SINAI/GETTY IMAGES

共同開発したハイテク機器

米国土安全保障省は、新型のイメージングセンサーやレーダーセンサーの国境の「自律型監視塔」への導入や、国境警備用のドローンやトンネル検知センサーの導入に向けて動いていると明らかにしている。

いずれもイスラエルで使われているものと似たタイプだ。

アメリカは国境警備においては、遠隔操作もしくは自律型の機関銃を使っていないが、米軍基地や米海軍の艦艇の防御のためには使っている。

例えば米軍は、ガザとの境界で使われているのと同じイスラエルの「サムソン遠隔操作式銃塔」を100台ほど配備した。イスラエル製の監視用小型ドローン「スカイラーク」も購入している。

イスラエルが(もしくはイスラエルとアメリカが共同で)開発し、米軍が世界各地の都市や基地を守るために運用しているハイテク防衛システムはほかにもある。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください