情報機関が異例の口出し、閉塞感つのる中国経済
ニューズウィーク日本版 / 2024年2月13日 17時17分
2023年の第1次産業の成長率は4.1%、第2次産業の成長率は4.7%、第3次産業の成長率は5.8%で、ここまでは経済全体の成長率5.2%との齟齬(そご)はない。第2次産業に属するさまざまな産業を見ると、まず発電量が前年より5.2%伸びているし、自動車生産台数は9.3%増加し、中でも新エネルギー自動車の生産台数は30.3%増加した。また、移動電話の端末の生産台数は6.9%増加し、太陽電池に至っては前年より54%も増えている。一方、粗鋼の生産量は横ばい(0.0%)だったが、鋼材は5.2%増加した。つまり、鉱工業の主要業種はおおむね高い成長を遂げており、第2次産業の成長率が4.7%より低かったとは思えないのである。第1次産業についても同様の検証を行うことができるが、ここでも4.1%伸びたことを疑わせるようなデータはない。
第3次産業の5.8%という数字についても同じように検証できればよいのだが、残念ながらサービス業に関する数字は鉱工業に比べて極端に少なくて検証はできない。ただ、一般に中国の第3次産業の成長率は第2次産業とかなり連動して動くので、5.8%伸びたというのは第2次産業の伸びからして不思議ではない。
低迷する不動産業、深まるデフレ懸念
では、中国経済に漂う不況感はいったいどこから来ているのだろうか。
その最大の要因は不動産業の低迷である。2023年の不動産への投資額は前年から9.6%減少し、不動産の販売面積も8.5%減少した。不動産投資と販売の減少は2022年から2年連続であり、底が見えない落ち込みである。
対外貿易も低調で、2023年の輸出は前年に比べて0.6%の伸び、輸入は0.3%の減少だった。
物価もデフレの方向に動いており、消費者物価指数は2023年の年間では0.2%上昇だったが、2023年12月には前年同期比マイナス0.3%、生産者物価指数は年間ではマイナス3.0%だった。
こうしたもろもろの数字から、中国経済の供給サイドは元気なのだが、需要が内需・外需ともそれに追いつかない状況だということが見てとれる。こうした場合には、過剰な生産能力や供給を減らすか、または需要増加を刺激することによって供給と需要をバランスさせるべきだが、次にみる失業問題を考えると、前者よりも後者を選ぶほうが望ましい。
失業者とは働きたいという意思と能力を持ちながらも就業できない人を指す。そうした人々が大勢いるような状況では経済の規模を拡大してより多くの人々が就業できるようにしたほうが望ましい。
この記事に関連するニュース
-
中国習近平指導部 経済情勢について「困難を直視しなくてはならない」 財政出動視野に景気テコ入れ策を検討
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年9月26日 23時38分
-
中国が最大規模の景気刺激策を発表、これで泥沼から抜け出せるか──外国人投資家の見方
ニューズウィーク日本版 / 2024年9月26日 15時4分
-
8月の中国経済は失速。「鬼門の夏」が過ぎ、景気回復は見られるか?
トウシル / 2024年9月19日 7時30分
-
不動産市場の低迷により中国経済は4カ月連続で減速、若年失業率も高止まり―仏メディア
Record China / 2024年9月5日 17時0分
-
アングル:失業エピソードをSNS発信する中国の若者、共感と連帯広がる
ロイター / 2024年9月5日 13時47分
ランキング
-
1中国の最新鋭原子力潜水艦が今年沈没=米国防当局高官
ロイター / 2024年9月27日 7時38分
-
2イスラエル、ヒズボラとの停戦案を拒絶 ネタニヤフ首相「全力で攻撃する」
産経ニュース / 2024年9月27日 8時55分
-
3イスラエル軍がアルジャジーラの支局を閉鎖、活動休止を命ず 支局長「出ていく気はない」
産経ニュース / 2024年9月26日 21時25分
-
4中国に「き然とした態度を示す」……海自護衛艦、台湾海峡を“初通過” 背景に威圧的な軍事活動 専門家「中国はなめていた」
日テレNEWS NNN / 2024年9月27日 8時26分
-
5全身ムキムキ、素手でコンクリートの板を…北朝鮮が急に公開した“特殊部隊”の実力と、金正恩の“意外な銃の腕前”とは
文春オンライン / 2024年9月27日 6時10分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください